サハラマラソン挑戦記BACK NUMBER
360度何も無い砂漠で迷子です……。
過酷なコースでリタイアを夢見る。
text by
松山貴史Takashi Matsuyama
photograph byTakashi Matsuyama
posted2011/04/29 08:00
ひどい砂塵を防ぐためにマスクを着用
もう歩けないかと思うくらい、とにかく膝が痛いのです。
ゴールすると、サハラマラソンのスポンサー「SULTAN」からティー・サービスが。疲れているせいか凄く美味しい。
少しすると、タイムと時速と順位が分かった。タイムは6:18:57で時速5.22km、順位は450位。スタート直後の貯金のおかげで悪くはないが、明日はこんなにうまく行かないだろう。
休むと膝が痛み出した。歩けるのかすら怪しい。
かなり空腹だったのと荷物減らしを兼ねて、カレー、味噌ラーメン、ご飯を一気に食べる。食欲を感じられているうちはまだ大丈夫だろう。先にゴールしていた日本の方が何人かいたが、普段から山に親しむ“山屋”の方々はやはり速いと思った。他の日本人選手の中には、熱中症にやられた方もいた。40度を超えていたので仕方ない。自分も気をつけなくては。
大会事務局から一日2通までメールを送ることが可能だと聞いていたが、特に送り先が思いつかない。こんな時にメールを送れる女の子の一人や二人作っておけば良かったと、激しく後悔。仕方ないのでNumber編集部のWさんにメールを送る。せめてカメラマンのFさん(♀)のアドレスを聞いておけばよかった。
砂漠の夜はすぐ訪れる。PM7時にはライトが必要だ。今日は疲れたので、PM7時半には就寝。膝が治っていることを祈りながら。
●4月4日(月)レース2日目……2nd stage Total 38km、CP1:11.3km、CP2:22.2km、CP3:31km
AM1時、寒さで起きてしまう。
外気温5度対応のシュラーフ(寝袋)でも寒いとはどういうことだ? 我慢して再び眠る。
AM3時、強風で起きる。
強風で潰れているテントもあった。マミータイプ(ミノムシ型シルエット)のシュラーフで頭まで覆えるので、無理矢理もぐって眠る。しかし、眠れない。そして膝もやはり痛い。
寝たり起きたりを繰り返しながら、AM5時半起床。強風の為、火を起こせない。自分の食事は全て火を使うので、全く準備が進まない。次回参加する際はこういった点にも気をつけよう。まぁ二度と出ることはないが。
そうこうしているうちに、ベルベル人が再び来襲。血も涙もない連中は強風もお構いなしに、テントを破壊的に撤収していった。
なんてこった。寒くて死にそうだ。
穴を掘って何とか火を付ける。人類はこうして知恵を付けてきたのだろう。急いで朝食のラーメンを食べる。
昨日のハイテンションと比べて、他の参加者もどこか陰鬱な空気を醸し出している。やはり、本当の砂漠と、想像以上のレースの過酷さを思ってのことだろう。昨日の猛暑とは一転して、とても寒い。朝だからだろうか? そして何より、砂塵が厄介だ。これ程までに自然と闘わなくてはならないとは、全く想像していなかった。
すでに、何人かの選手がデジカメやサングラスを砂塵にやられたらしい。2日目でデジカメ故障は致命的だ。自分のデジカメは、砂漠ランナーの方々に勧められたPENTAX製の砂塵対応デジカメなので、砂塵の心配は全く無かったが、予備のバッテリーを忘れてきたことにこの時気づく。やれやれ。こういった些細なミスも砂漠では許されない。一気にテンションが下がる。
悪天候もあり、開始時間が前倒しのAM8時半になる。急いで準備してスタート地点へ。こんな強風の中でも、パトリック氏は元気に演説。2日目がスタートした。
砂塵がひどいので、マスク着用で出発。
試しに走ってみるが、激痛が走る。走るのを断念し、歩いて頑張る。スタート直後は、昨日のCP2からのような、ゴツゴツした一本道。ここって昨日通った場所じゃないのか? と方向感覚が全くなくなるくらい何もない道だ。歩くこと2時間、いよいよ砂丘のお出ましだ。やはり、歩けど歩けど、全く前に進まない。CP1まで地図では3kmとあるが、全く着かない。喉の渇きが限界に来た頃にようやくCP1を発見。発見してから30分後到着。