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安藤美姫の200点超え。
~世界フィギュアを展望する~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byKYODO

posted2011/04/27 06:00

安藤美姫の200点超え。~世界フィギュアを展望する~<Number Web> photograph by KYODO

 フィギュアスケートの四大陸選手権で、安藤美姫が女子選手で史上4人目の200点超えを記録した。ショートプログラム(SP)66.58、フリー134.76で合計201.34。国際スケート連盟公認の国際大会で200点を超えた選手は、過去にキム・ヨナ(韓国)、浅田真央(日本)、ジョアニー・ロシェット(カナダ)の3人だけ。昨季から今季にかけてのルール変更を考慮すると、安藤の200点超えは非常に価値がある。東京からモスクワに変更しての開催となった世界選手権(女子ショートは29日、フリーは30日)への展望も含め、安藤の得点内容を詳しく分析してみたい。

 過去に200点を超えた3人は、ベストスコアを、いずれも'10年2月のバンクーバー五輪で記録している。'09-'10年シーズン終了後、ルールの改正があって、合計点は出にくくなった。その内容は次のようなものだ。

 ジャンプに関しては、軽度の回転不足――例えば3回転の予定が2.7回転程度だった場合、3回転の基礎点の7割が与えられるようになって(昨季まで2.7回転は2回転と判定されていた)この部分は得点が出やすくなった。しかし何と言っても、昨季まで8個あったSPの必須要素から、スパイラルが削除され、必須要素が7個に減った。これによって、合計点は出にくくなったのである。

スパイラルで獲得できる得点が減ったことの影響は?

 別表を見ると分かるように、バンクーバー五輪で200点を超えた3人は、いずれもSPのスパイラルで基礎点3.4、審判評価(GOE=Grade of Execution)で1.8から2.0を獲得している。つまり合計5.2から5.4を、スパイラルで獲得しているのである。今季からこの得点はなくなったわけで、当然、それだけ合計点は低くなるわけだ。

 フリーにおいても、スパイラルはすべて基礎点2.0となった。昨季までは、最高レベルなら基礎点3.4だったから、やはりスパイラルで獲得できる点数は減っている。

●女子フィギュア200点超え4選手の得点内容
  キム・ヨナ (韓国)
'10年五輪   228.56 
ショート フリー
基礎点 審判
評価
基礎点 審判
評価
ジャンプ 19.0 4.8 44.70 12.0
スピン 9.2 2.3 9.5 2.4
スパイラル 3.4 2.0 3.4 2.0
ステップ 3.3 0.7 3.3 1.0
スケート技術 8.60 9.05
演技のつなぎ 7.90 8.60
演技力 8.60 9.15
振り付け 8.40 8.95
音楽の解釈 8.75 9.10
  浅田真央 (日本)
'10年五輪   205.50 
ショート フリー
基礎点 審判
評価
基礎点 審判
評価
ジャンプ 18.5 2.4 39.66 2.72
スピン 9.2 1.7 9.5 2.4
スパイラル 3.4 2.0 3.4 2.6
ステップ 3.3 1.0 3.3 1.1
スケート技術 8.25 8.55
演技のつなぎ 7.40 7.85
演技力 8.40 8.50
振り付け 8.10 8.45
音楽の解釈 8.20 8.55
  J・ロシェット (カナダ)
'10年五輪   202.64 
ショート フリー
基礎点 審判
評価
基礎点 審判
評価
ジャンプ 16.3 4.2 42.18 0.92
スピン 8.4 1.0 9.5 1.3
スパイラル 3.4 1.8 3.4 1.4
ステップ 3.3 0.8 3.3 0.8
スケート技術 8.10 8.60
演技のつなぎ 7.70 8.30
演技力 8.15 8.55
振り付け 7.95 8.65
音楽の解釈 8.30 8.70
  安藤美姫 (日本)
'11年四大陸   201.34 
ショート フリー
基礎点 審判
評価
基礎点 審判
評価
ジャンプ 16.2 3.36 44.36 7.79
スピン 8.9 2.86 10.0 2.86
スパイラル 2.0 1.86
ステップ 3.3 1.07 3.3 0.86
スケート技術 7.79 7.79
演技のつなぎ 7.39 7.36
演技力 7.86 7.86
振り付け 7.71 7.75
音楽の解釈 7.86 7.82
※太字は、各項目、4人の中での最高得点

 キム・ヨナがバンクーバー五輪で金メダルを取った時は、スパイラルだけでSP5.4、フリー5.4で合計10.8を獲得している。一方、今季、四大陸選手権での安藤は、スパイラルで取れた点数はフリーにおける3.86だけ。2人の点を比較すれば分かるように、昨季と今季では、スパイラルで7点くらいの開きが出る。昨季のルールで採点すれば、安藤は208点くらい出すことができたはずだ。

【次ページ】 安藤がキム・ヨナの歴代最高得点に迫る可能性。

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