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福島千里が北京で開けた五輪への扉。
女子短距離のリレーで五輪決勝を狙う!!
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2011/04/26 10:30
昨秋、中国・広州で開催されたアジア大会の陸上4×100mリレーで銅メダルを獲得した福島千里、佐野夢加、渡辺真弓、高橋萌木子ら。その上の金、銀メダルは中国とタイ代表だった
2011年は、ロンドン五輪の前年、プレシーズンである。今シーズンの成績に日本代表の座がかかる競技も少なくないし、そうではない競技でも、来年を見据えての重要なシーズンとなる。
陸上もまた、そのひとつである。
4月23日から始まった日本選抜陸上和歌山と兵庫リレーカーニバルで、トラック・フィールド種目のスタートが切られ、5月8日のセイコーゴールデングランプリ川崎、6月の日本選手権などを経て、8月に行なわれる韓国・大邱での世界選手権と大会は続いていく。その中で、どこまで海外勢に肉薄するかが試金石となる。
福島の活躍に刺激された選手たちの台頭が顕著な女子短距離。
陸上の中でも、注目される種目のひとつが、女子の短距離である。
中心にいるのは、福島千里だ。福島は、北京五輪の100mに、日本女子では56年ぶりに出場。その後も、100m、200mの日本記録を何度も塗り替え、昨年のアジア大会では2冠達成。押しも押されもせぬ第一人者となった。福島の活躍は、本人にとどまらず、「日本人でもやれる、私たちもやれるんだ」とまわりへの刺激を与え、他の選手も台頭してきた。
昨年、一時的に調子を落としたが、福島と同級生のライバル、高橋萌木子も北京五輪後のシーズンで、記録を伸ばし続け、福島と好勝負を演じてきた。今春、富士通に入社。
「昨年は福島さんに差をつけられました。社会人として、新たな気持ちで追い越せるシーズンにしたいと思っています」と、気持ちを新たにする。
福島や高橋だけでなく、若手や復活組など選手層も充実。
福島や高橋より若い選手たちの中では、昨年の世界ジュニア選手権200mで日本女子において史上初の決勝進出を果たした中京大学の市川華菜、愛知で市川と競ってきた中京女子大学の今井沙緒里の成長も目立つ。
さらに、2007年に大阪で行なわれた世界選手権で4×100mリレーに出場したメンバーの一人、北風沙織が、苦しめられてきた左すねの故障から回復、調子を取り戻しつつあるし、アジア大会でリレーを走った渡辺真弓、佐野夢加らもいる。
選手層も充実してきているのだ。