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ダルビッシュを支えた鎌倉健の心遣い。
text by
永谷脩Osamu Nagatani
posted2005/07/07 00:00
清原和博(巨人)が西武入団1年目の北陸遠征の時、一人ポツンとホテルで食事をしていた。行動をともにして騒がれるのを恐れた当時のナインが、食事に誘わなかったためだ。翌日の登板を控え外出していなかった東尾修は、それを見ていた。だから、監督になり、松坂大輔が入団して初めての遠征では、同級生の赤田将吾を一軍に上げるという配慮をした。大物ルーキーが遠征に出る場合、一、二度はともかく常に一緒に行動してくれる先輩はほとんどいない。ゆっくり過ごしたいというのが本音だからだ。
高卒ルーキーでは松坂以来となる初登板初勝利をあげたダルビッシュ有(日ハム)は、6月の甲子園遠征から一軍に帯同した。そんな彼に「一人で寂しかろう」と声をかけたのが、2年先輩の鎌倉健。東北高卒のダルビッシュと同じ宮城県、仙台二高出身の江尻慎太郎とともに、もつ鍋に誘ったのである。喫煙発覚による謹慎や、右ヒザ関節炎で苦しんでいたダルビッシュにとってみれば、何よりも嬉しい誘いだったに違いない。後に「あれで仲間に入れた」と語っている。