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ハットトリックで歓喜の“F***”連呼。
ルーニー「2試合出場停止」の真相。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2011/04/14 10:30

ハットトリックで歓喜の“F***”連呼。ルーニー「2試合出場停止」の真相。<Number Web> photograph by AFLO

FAへの上訴の結果待ちの間に行なわれたCL準々決勝チェルシー戦1stレグで、決勝点を挙げたルーニー。貴重なアウェーゴールでもあり、準決勝進出に向けて大きな1点となった

 ウェイン・ルーニーがウェイン・ルーニーであるが故の顛末だろう。

 プレミアリーグ随一のスターであるルーニーの名は、テレビカメラの前での暴言によりイングランドのFA(サッカー協会)に罰せられた初の選手という不名誉な記録で、イングランド・サッカー史に刻まれた。

 4月7日、ルーニーの「2試合出場停止」が決定した(UEFA管轄下のCLは対象外)。これは4月2日に行なわれたウェストハム対マンチェスターU(2-4)での発言に対する処分だ。但し、審判を批判したり、相手の選手やファンを侮辱したりしたわけではない。ルーニーは、ハットトリック達成となる逆転のPKを蹴り込んだ直後、チームメイトたちの祝福を受けながら、目の前に迫ったカメラの前で吼えた。そこで発せられた言葉が、俗に“Fワード”と呼ばれる罵り言葉だったのである。

逆転のハットトリックを決めた直後に“F***”を連呼。

 マンUが2点をリードされて迎えた後半、反撃の狼煙を上げたのはルーニーだった。1点目は、約19mの距離から放り込んだFK。続いてアントニオ・バレンシアからのラストパスを、マンUでのリーグ戦通算100得点目に当る同点ゴールに変えた。DF2名を前に一気にシュートコースを生み出したファーストタッチは、2月のマンチェスターC戦(2-1)で披露した決勝のオーバーヘッドキックにも劣らぬほど見事なものだった。

 その6分後に訪れたPK直後の叫びは、逆転劇を独演した興奮が体中を駆け巡ってのことだったに違いない。

 もちろん、“F***”の連発はいただけない。世界中で数百万人が観戦する生中継で電波に乗ったとなれば尚更だ。だが、一方では、ルーニーの発言が感情のほとばしりにすぎなかったことも、画面を通じて明らかなはずだった。事実、中継局に視聴者からの苦情が殺到したという事実は確認されていない。しかも当人は、試合後に「感情に流されて不適切な行動をとってしまった。謝りたい」とする声明文を発表して非を認めている。

 それでもFAは、試合の2日後、ルーニーに侮辱や罵倒に値する発言があったとして、2試合の出場停止という重い懲戒処分を下した。ただちに本人とクラブは、過失を認めた上で処分の軽減を求める上訴を行なったが、FAの裁定は変らなかった。

【次ページ】 ルーニーの懲戒処分は浄化キャンペーンの生け贄か。

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