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世代交代がすすむキック界の「現在」。
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph bySusumu Nagao
posted2006/12/07 00:00
キックボクシングで激闘を続けて15年、“野良犬”小林聡(藤原)が引退を発表した。11月12日、東京・後楽園ホールで行われた“ムエタイ四冠王”ジャルンチャイとの大一番で完敗を喫した後、マイクを握るや、「今日の試合を最後と決めてリングに上がりました」と発言。その後は無言のままで会場をあとにした。
事前にそのようなムードは全くなかったため、通路にまであふれていた大観衆は唖然。何も聞かされていなかった小林のセコンドも声を失なうしかなかった。大声でわめきながら姿を消す野良犬なんていない。自分の散り際を周囲に悟らせず、ファンの関心を試合にだけ集中させた姿勢は勝負師としての理想に思えてならなかった。団体や所属ジムを問わず、小林が下の世代から慕われ続けたのもわかる気がした。