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ゼンノロブロイに託された壮大な夢。
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byYoko Kunihiro
posted2005/07/07 00:00
昨年の年度代表馬ゼンノロブロイ(牡5歳、美浦・藤澤和雄厩舎)が、満を持して宝塚記念(6月26日、阪神芝2200m、GI)から始動する。締め切りの都合でレース結果を伝えることはできないが、タップダンスシチーと当代最高レベルの、見応えある一騎打ちが演じられたものと思われる。
ところで、ゼンノロブロイのオーナーであり、九州の経済界でも活躍していた大迫忍さんが、宝塚記念の1週前の土曜日に逝去された。まだ59歳という若さで、各方面から惜しまれる人格者だった。
40代のときに大病を患い、そこから生還できたことで人生観が一変し、仕事をしながらでもできる、競走馬のオーナーを趣味として楽しむ道を選択したそうだ。藤澤和雄調教師が、「本当に競馬がお好きな人でしたし、その楽しさを知らない人たちに、どうにかして魅力を伝えようと努力もされていました。競馬界全体にとっても大功労者です」と言うように、オーナーの地元小倉に、藤澤調教師や武邦彦調教師など、毎回豪華なゲストを招いて競馬セミナーを開催した逸話も聞こえてきている。いい意味でのブルジョワを実感させる稀有な人物だった。