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育成プログラム導入で、四輪レースは変わるか。 

text by

大串信

大串信Makoto Ogushi

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posted2004/06/17 00:00

 四輪レースには多様なカテゴリーが存在するが、事実上昇級・降級のシステムは存在しない。基本的には、成績の良否とは無関係に上位種目に出場できるのだ。その結果、才能があっても資金のない選手が、逆の立場にある選手に生存競争で敗北するという理不尽な事態が往々にして生じる。

 もし、上級へ進むためには直下のカテゴリーで昇級基準をみたさなければならないこととし、あるカテゴリーで成績が基準に達しなかった選手は翌シーズンは強制的に降級するという仕組みを作って選手の新陳代謝を成績ベースで推進できれば、競技として一般の評価を受けやすくなり、モーターレーシングの社会的認知を広げることもできるだろうに。と、夢見はするけれども、現実問題としては様々な障壁があって実現は難しい。しかし、近年になって一部に、結果的ではあるけれども擬似的な昇級システムが生まれ、ひとつの流れが形作られつつある。それが、自動車メーカーによるドライバー育成プログラムだ。

 ドライバー育成と言えば、数々の有力ホンダ系ドライバーを生み出したレーシングスクール、SRS―F及びフォーミュラドリームが有名だが、近年はトヨタが運営する「FTRS」(フォーミュラトヨタ・レーシングスクール)が、一貫性を増して目立ってきた。たとえば、今年国内トップフォーミュラである全日本選手権フォーミュラ・ニッポンに参戦した片岡龍也選手は、レーシングカートで活躍後、FTRSに加わり、フォーミュラトヨタ、全日本F3選手権を経てF・ニッポンへたどりついた。彼が今年乗るマシンの横腹には誇らしげにFTRSの文字が描かれ、その出自が示されている。

 育成プログラム内部の昇級判定は、当然ながら能力と成績を基準に行われる。もちろんメーカーの支援あってこそ実現する仕組みではあるけれども、望んで久しい才能ベースの生存競争がそこでは行われているのだ。金はなくとも才能はあるという選手が浮上するための足場として、こうしたメーカー系育成プログラムがより広く機能するようになれば、メーカー本来の目的が達成されるばかりか、日本の四輪レース界の基盤を固めるという大きな成果が得られるに違いない。メーカーが模索するレース界との関わり方として、大きな期待をもって眺めることにする。

モータースポーツの前後のコラム

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