スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
スペインの緩すぎるドーピング事情。
サッカー界は潔白を強調するが……。
text by

工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2011/03/25 10:30
CL決勝トーナメント1回戦、リヨンとのセカンドレグ前日会見に臨むモウリーニョ。ドーピングに関する質問も出た
スポーツ大臣は「国際基準を満たしている」と主張。
今回の一件を受け、スペイン政府のリサベツキー・スポーツ大臣は「スペインのフットボール界は潔白だ。スペインではあらゆるスポーツにおいて真剣に反ドーピングに取り組んでおり、全ての国際基準を満たしている。FIFAからもスペインのスポーツ界は最前線に立っていると言われている」とコメントを発した。
ただ、先のレポートが報じた通り、スペインサッカー界におけるドーピングコントロールは明らかに緩い。360分の8という検査対象に当たる確率は宝くじのようなものだし、検査内容が最新のドーピング技術に対応していないのであればやる意味すらないように思える。
残念ながら、スペインのスポーツ界にはドーピングが存在している。身の潔白を言葉で主張するだけなら誰でもできる。真に無実を証明したいのであれば、より現状に即した最新にして最高の検査体制を築くべきだと思う。
Los Angeles Times
アメリカ最大規模の日刊紙。1881年創刊。142年以上にわたって地元南カリフォルニア地域を中心に取材を行い、政治や社会、文化、スポーツなどの記事を精力的に報道。優れたジャーナリズムに対して贈られるアメリカで最も権威のある「ピューリッツァー賞」を何度も受賞している。ウェブサイト(latimes.com)のユニーク訪問者数月間4000万人以上、日曜版の読者数160万人、紙版・電子版の週間読者数合計440万人を誇る。
児島 修(こじま・おさむ)
英日翻訳者。訳書に『OHTANI'S JOURNEY 大谷翔平 世界一への全軌跡』(サンマーク出版)、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)、『ペドロ・マルティネス自伝』『ダン・カーター自伝 —オールブラックス伝説の10番—』(東洋館出版社)、『ウルトラランナー: 限界に挑む挑戦者たち』(青土社)など。
