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スペインの緩すぎるドーピング事情。
サッカー界は潔白を強調するが……。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2011/03/25 10:30

スペインの緩すぎるドーピング事情。サッカー界は潔白を強調するが……。<Number Web> photograph by AFLO

CL決勝トーナメント1回戦、リヨンとのセカンドレグ前日会見に臨むモウリーニョ。ドーピングに関する質問も出た

ラジオ番組のMCがリーガに蔓延するドーピング禍を告発。

 では、スペインサッカーを巡る、このコラムの本題に入る。

 13日夜、スペインのラジオ局『Cadena COPE』の番組「エル・パルティド・デ・ラス12(12時の試合)」にて、MCを務めるフアン・アントニオ・アルカラが発したコメントが大きな波紋を呼んだ。

 彼はレアル・マドリーがスペインサッカー協会(RFEF)に対し、現行のドーピングコントロール制度を見直すよう公式に要求する意向だとコメント。さらに彼は、バレンシアがリーガを2度制した('01-'02、'03-'04シーズン)時期にエウフェミアノ・フエンテス医師(多数の自転車ロードレース選手に血液ドーピングを行った首謀者として'06年に摘発された人物)と提携していたこと、またバルセロナの提携医師に「疑わしい評判がある」としてレアル・マドリーが不満を抱いていると語ったのだ。

 バルセロナは翌日、公式声明を出して『Cadena COPE』の報道に怒りを示すと共に、提携するラモン・セグラ医師が「失った栄養素を補うため、試合直後にビタミンやブドウ糖などをミックスした栄養剤を摂取させているだけ。モウリーニョもファン・ハールのアシスタントだった時に見ているはずだ」と潔白を強調。またDFジェラール・ピケは「軽はずみな発言だ。僕らは何を隠す必要もない。嘘だね。フットボールは良いプレーをした方が勝つ。それだけだ」と笑顔で事実関係を否定した。

 同様にバレンシアも、公式声明を出してフエンテス医師との関係を断固否定。ウナイ・エメリ監督は「選手達はクラブが定めた検査を受けている。フットボールとドーピングの関わりなど見たことはない」との考えを示した。

レアル・マドリーは告発の真偽に関してノーコメントを貫いている。

 これらの反応を受けた『Cadena COPE』は14日夜、「我々の唯一の目的は情報の伝達。あらゆるスペインのクラブ、スポーツ選手の名声を傷つけ、疑惑を扇るような意図を持ったことは一度もない。バルセロナとバレンシア、そして両クラブのファンに今回の放送が誤解を招いたことを謝罪したい」と公式声明を通して両クラブに謝罪した。

 だが、怒りが収まらぬバルセロナは15日、『Cadena COPE』に損害賠償を請求することを発表した。一方でレアル・マドリーは、ペレス会長がバルセロナのロセイ、バレンシアのジョレンテ両会長に直接電話を入れてクラブの関連性を否定したものの、公式にはノーコメント。会見でこの件を問われたモウリーニョ監督も「あなたが何を言っているのか分からないし、分かりたくもない。分かる人間には怒りを感じる」と言うにとどまった。

【次ページ】 新聞に掲載されたドーピング検査の現状が騒動の背景に。

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