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スペインの緩すぎるドーピング事情。
サッカー界は潔白を強調するが……。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2011/03/25 10:30

スペインの緩すぎるドーピング事情。サッカー界は潔白を強調するが……。<Number Web> photograph by AFLO

CL決勝トーナメント1回戦、リヨンとのセカンドレグ前日会見に臨むモウリーニョ。ドーピングに関する質問も出た

 コラム本文に先立ち、東日本を襲った大地震に対するスペイン国内の反応について報告したい。

 13日に行われたスペイン1部リーグ第28節レバンテ戦で移籍後初先発を果たしたマジョルカの家長昭博は、日本語とスペイン語で「困難に立ち向う、日本にいる全ての皆さんを誇りに思う」と書いたTシャツを着てピッチに現れた。

「ゴールを決めて日本の人々に捧げたかった」。そう悔しそうに語った後、自らも阪神淡路大震災を体験している家長は「規模がね、見ている限り今回は全然違う。日に日に死者も増えている。ちょっと比較にならない」と日本の映像を通して受けた衝撃を語り、「もっと勇気づけられるように、もっともっと良いニュースを届けられるようにできれば」と母国にエールを送った。

スペインのスタジアムから届けられる日本へのエール。

 被災地の惨状は遠くスペインでも日々伝えられてくる。12日以降、一般紙の一面には目を疑うほどに崩壊した町の光景が並び、テレビのニュースチャンネルでは24時間ほぼ現地と同スピードでNHKの映像が流れている。

 サッカー界では先述のレバンテ対マジョルカ戦の他、各試合で1分間の黙とうが捧げられた。

 レアル・マドリー対エルクレス戦ではスクリーンに「レアル・マドリーは日本の皆様と共にいます」の文字が表示され、セビージャ対バルセロナ戦では「頑張れ、日本!僕らは君と共にいる。」と日本語で書かれた横断幕を両チームの選手、審判団が掲げた。

 15日にはスペインサッカー協会(RFEF)が日本サッカー協会にレターを送り、6月に横浜で日本代表とスペイン代表によるチャリティーマッチを行うことを提案したとの報道もあった。

 このコラムの筆者としてあえて言うならば……これまで日本は多くの国々に有形無形の貢献を果たしてきた。逆に今、世界中が日本に手を差し伸べようとしてくれている。だから今は大声で助けを求めていい時だと思う。一つでも多くの命が救われ、一日でも早く被災者の方々が元の生活を取り戻せるよう、心から祈っています。

【次ページ】 ラジオ番組のMCがリーガに蔓延するドーピング禍を告発。

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