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【動画】「美しすぎて怖い感覚がありますね」走幅跳・橋岡優輝が“オンリーワン”になるために重視する主観と客観の融合「アベレージ8m30、40じゃ物足りない」《インタビュー/前編》

2026/06/20
 走幅跳で日本歴代2位・8m36の記録を持ち、2019年世界選手権では日本男子初の入賞、2021年の東京五輪でも6位に入った橋岡優輝。誰もが日本記録の更新、そして世界の舞台でのさらなる飛躍を期待した。しかしここ数年の世界大会では入賞を逃すなど苦しんできた。今季は8m超えの記録を連発し、日本選手権でも優勝するなど好調を維持している。復調の裏にある深い理由、「究極の美」と称賛する世界記録保持者のジャンプなどじっくり語ってくれた。<前・後編の2本立て/後編はこちら

「昨シーズンを終えたとき、自分の感覚を取り戻す必要があると思ったんです。冬季練習ではそこを重点的に取り組んできました」

 今シーズン、8m超えを連発している橋岡は静かな確信の中にいる。

 3月末の記録会では8m14をマークし、4月にアメリカで出場した2試合でもいずれも8m超え。5月のゴールデングランプリでは8m22と好調だ。ここ数年の世界大会では入賞を逃すなど苦しんできたことを考えれば、順調なスタートにも見える。

 だが、その背景にあるのは、単に練習を積み重ねているだけの話ではない。過去を検証し、自分の意志で新しい形に組み立て直した、戦略的な原点回帰だった。

5月のセイコーGGPでの跳躍 photograph by Takuya Sugiyama
5月のセイコーGGPでの跳躍 photograph by Takuya Sugiyama

 日本のトップクラスのジャンパーが基礎に立ち返る必要があったのか。なぜ原点に立ち戻らなければならなかったのか。

「スプリンターの技術を学ぶことを課題にしていたんですが、その結果、スプリンターに寄りすぎてしまって。本来の持ち味や強みが薄れて、少し乱れていたというか」

 昨シーズン終了後、橋岡は大きな決断を下した。3年間拠点を置いたアメリカ・ジャクソンビル、そしてコーチのレナ・レイダーのもとを離れ、指導者のいない環境で自ら練習を組み立てたという。

「どうしようかなと考えたんですが、自分で一度組み立てるのもアリなのかなと考えるようになって」

 冬季練習で没頭したのはベーシックな練習の反復だった。動き作りのドリルひとつひとつに神経を研ぎ澄ませ、自分の感覚をミリ単位で確認する作業を積み重ねた。狙いは、純粋な身体能力の強化ではない。一度崩れてしまった体のサイクルを正しく機能させるために、そしてジャクソンビルで3年間学んできたものを無駄にするのではなくいい形で自分の動きに落とし込むために、反復練習を自らに課したのだ。

 走幅跳は、助走、踏切、空中動作、着地という一連の局面から成り立つが、橋岡はそのいずれの動作にも「職人的」なこだわりを見せる。たとえ大ジャンプを見せても、彼にとっては論理的な裏付けのない成功は、ある意味、「再現性のない失敗」ともいえる。だからこそ、結果に一喜一憂せず、プロセスの解像度を極限まで高めているのだ。                                                                                                    

Wataru Sato
Wataru Sato

  橋岡が目指すのは世界記録だ。

「これはあくまでも個人的な考えですが、やっぱりオンリーワンになっていかないと。一番上を目指さなくてどうするんだって思うんです。そういう選手になるためには、もう一つ殻を破らないといけない」

 視線の先には「究極の美」と評する、世界記録保持者、マイク・パウエルの跳躍がある。

「能の面のような造形美で、ゾクッとするし、美しすぎて怖い感覚がありますね。それほどすごい跳躍でしたし、それを超えていきたいという気持ちがありますね」

助走20歩にこめた職人的こだわり

 インタビュー動画・前編では以下のトピックについても話をしてもらっている。

  • 今シーズン、なぜ8m超えを連発できているの?
  • 「トライ&エラーを繰り返して」助走スピードと踏切の最適解を探す
  • 助走20歩にこめた職人的こだわり
  • 橋岡の哲学的思考「主観」と「客観」と「理想」
  • 物足りない〝なにか〟を探すための海外挑戦
  • 「オンリーワン」になるために必要なものは?
  • 「美しすぎてゾクッとする」マイク・パウエルのジャンプ
  • 課題は「まだつかみきれていないもの」の真意

  走幅跳は完璧な自分の跳躍ができたときにしか思い描いた記録はでない。だからこそ「他者との勝負」と「記録との勝負」で、どちらも負けたくないーー。

 橋岡の率直な思い、そしてアスリートとしての思考の軸に迫った貴重な動画インタビュー、後編とともにぜひご覧ください。

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photograph by Wataru Sato

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