結成4シーズン目の今季、スケートカナダの優勝を皮切りに、21歳と30歳のペアは次々とタイトルを獲得し、日本勢初となる年間グランドスラムを達成。圧倒的な存在感を見せつけた。新しい扉を開いた2人が、頂点までの歩み、来季への想いを語った。
日本勢初の世界選手権優勝をかけた、3月23日、ペアのフリースケーティング。その6分間練習で三浦璃来&木原龍一組は、最終4組のなかでも際立つスピードで、さいたまスーパーアリーナを疾走していた。
「母国開催の世界選手権。久々に聞く声援も嬉しくて、『勝たないと』というプレッシャーは無く、リラックスしていました」(木原)
氷から上がると、嬉しい出来事があった。
「(SP3位の)イタリアの方から、『一緒に滑っていて怖いくらい! スピードが速すぎるわ!』と言われたんです」
三浦も「嬉しかったよね」とうなずく。自分たちの強みを再確認すると、アグレッシブな滑りで頂点へと駆け上った。
「今季は、シーズンイン直前に三浦さんが怪我をして難しいシーズンでした。そのなかで2人の絆を改めて確認して、信頼の部分でも成長できたと実感しています」(木原)
GPファイナル、四大陸選手権、世界選手権と全種目を通じ日本勢初となる年間グランドスラムを達成。すさまじい勢いで進化し続ける2人は、今季、日本のペアの歴史を再び塗り替えた。
兵庫から東京まで通院する三浦に木原も付き添った
アクシデントが起きたのは昨年7月24日、アイスショーの愛知公演・千秋楽の最中だった。
「演技冒頭のジャンプで転倒したときに、手をついてしまって。あれ、肩が動いたなあ、と。でも本番中だったので、そのままスロージャンプもリフトもやって。デススパイラルは脱臼した方の腕ではなかったので、滑りぬきました」(三浦)
病院での診断の結果、左肩が脱臼していた。2カ月間は技の練習は禁止。兵庫から東京まで通院する三浦に木原も付き添った。
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photograph by Wataru Sato