5回目のシリーズに登場するのは、2022年にその「白河の関越え」を果たした仙台育英OBたち。指揮官・須江航が率いるチームの強さの源はどこにあったのか。投手陣の一角として2023年の準優勝に貢献し、立教大学では既に六大学通算7勝を挙げる田中優飛投手に話を聞いた。《斎藤蓉投手、髙橋煌稀投手、尾形樹人捕手の動画インタビューも公開中。他にも当時の仙台育英・優勝メンバーを取材予定です》
髙橋煌稀、湯田統真、仁田陽翔。22年から23年にかけて仙台育英を牽引した世代において、入学当初に頭ひとつ抜けていた存在が田中優飛だった。

監督の須江航がのちにこのような評価を語った左腕は、1年春から仁田とともにベンチ入り。夏には早くも球速が140kmを超えた。
「ストレートを速くしていって、高卒でプロに入ると思い描いていました」
ところが、可視化される現在地に田中は徐々に危機感を抱くようになった。チーム内には「140km超え」が15人ほどおり、SNSを通じて送られてくる監督の評価も自分より他者が勝るようになっていく。2年の夏を迎える頃に台頭してきたのが髙橋と湯田であり、田中はベンチから外れた。
古川翼と斎藤蓉の3年生に加わり躍動する2年生投手陣。彼らの実力は認めている。しかし、甲子園で脚光を浴びる「140kmクインテット」に複雑な感情が去来する。
田中は東北勢初の日本一という偉業を、ボールボーイとして見届けた。
「なんで俺、ここにいるんだよ……」
転機は甲子園後に訪れた。現状を打破するべく、田中が監督の須江にヒントを求めると強烈な叱責を受ける。大きな衝撃だった。

「ストレートで勝てない、立場もなくなるとなったら『やろう』と決意しました」
当時、早稲田大でプレーしていた2学年上の伊藤樹(現:楽天)に助言を求め、モデルチェンジに着手する。目指したのは制球力と変化球で勝負する、それまでとは真逆のスタイルだったが、これが田中にマッチした。
ひと冬を越え結果と評価を上げた左腕は、髙橋らとともに「最強投手陣」の一角として不動の立場を築く。3年夏の甲子園決勝では、慶應義塾に敗れはしたものの大舞台のマウンドにも立ち、高校野球を終えた。
「育英で味わえたものがたくさんありました」
「ちゃんとドラ1、目指しているか?」
高卒でのプロは叶わなかったが、立教大進学に際して田中は、須江と約束を交わした。
4年後、ドラフト1位でプロへ――。
「人生は敗者復活戦」
須江の訓示を胸に左腕を研磨する。3年春の時点で大学通算は7勝。実績は高校時代の「140kmクインテット」をもしのぐ。
今でもSNSでつながる恩師が気にかける。
「ちゃんとドラ1、目指しているか?」
答えはいつも神宮のマウンドで伝えている。

動画では以下のような話題について語っています。
- 中学野球の逸材の目標は「高卒プロ」だった
- 同級生の台頭に「速球派じゃ無理だ」
- ボールボーイとして見た日本一
- 須江監督からの厳しい叱咤激励とは
- 先輩・伊藤樹から授かったアドバイス
- 「最強投手陣」の仲間入りを果たす
- 「ドラ1でプロへ」。恩師との約束
- 大学でも続く仙台育英のライバル関係
エース候補から〝第4の男〟へ。仙台育英時代の経験を糧に、立教大ではプロ注目投手へと成長を遂げる田中優飛選手。約30分間の動画インタビューを是非ご覧ください。(2026年6月24日取材)
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