早大大学院で執筆した“実践的”修士論文の中身、研究の中で気づいた恩師・大八木弘明の凄さ、監督になって1カ月で掴んでいる手応えと難しさ、そして箱根駅伝「初出場」への道筋などをじっくり語ってもらった。<前後編の2本立て/前編はこちら>
「もともとは駒澤の大八木総監督のもとに、明治学院大学からお話があったんです。大八木さんには、私が将来的には指導者になりたいと事前に相談させていただいていたので、その中で監督に推薦してもらってという感じです」
2026年の2月末、明治学院大学から中村匠吾の監督就任が報じられた。これは2つの意味で驚きだった。まずは激化する箱根駅伝出場枠争いに明治学院大学が本格参戦するという意思表明であったこと、そしてその「顔」となる指導者にコーチング未経験の33歳の中村を抜擢したことだ。

「富士通からは『やはり何年かコーチングをして、それから監督になっても遅くないんじゃないか』ということも言ってもらっていたのですが、実は(明治学院大学の)他にもいくつかの大学から監督に、と声はかけていただいていたんです」
多くの元ランナーが大学の駅伝チームを指導することを夢見る中で、 複数のオファーがあったという事実は、オリンピックマラソン代表という実績、駒澤大学から富士通という名門の中で努力を続けたという経歴、そして何より実直な中村の人柄が評価された、ということだろう。
だが、大学駅伝界の競争は年々厳しさを増している。単純に指導者の力量、人柄だけではどうにもならない面もある、関東学連副会長・大後栄治さんは「大学経営の面からバックアップがないと絶対に出場できない」と断言するほどだ。ライバルとなる駅伝監督たちも多士済々、個性豊かなメンバーが揃う。
「いろんな大学の監督から、『この仕事は正直大変だよ』とずっと聞いていたんですが、なかなか想像できていなかった部分もありました。ただ、大八木さんや藤田さんを見ていて大変さの中にも“感じる部分”はあったので、最終的には監督という立場になりたいと思いました」
就任早々、難しさを実感したのが「スカウティング」だ。3月、全国の強豪校が集う伊那駅伝に出向いて、各高校の指導者に挨拶をして回ったというが、駅伝界における新勢力を率いる身として、その厳しさを感じとったという。
「これは大変だぞ、と。でも、修士論文の指導を受けた平田(竹男)先生から『オリンピックを経験したこと、そして書いた論文を自分の武器にできるかどうかだよ』とずっと言われていたんです。卒業間際までピンと来なかった部分もあったのですが、論文を書き終えて、卒業して、スカウトに行くことで、(この論文などで)他と差をつけなかったら今のスカウトでは勝てないんだろうなということを実感しましたね」
では、中村が指導者として自分自身に欠けている資質、つまり「課題」とは何か。それを恩師の大八木総監督は持っているというが、自分自身と向き合いじっくり動画インタビューで語ってくれた。

東京五輪後は「正直モチベーションが続かなかった」
インタビュー動画・後編では以下のトピックについても話をしてもらっている。
- 「十分に目標は前倒し可能」箱根駅伝初出場への想い
- 現在の明治学院大学の中心選手は?それに対抗するのは?
- 赴任して短期間で「練習はガラッと変わった」
- 修士論文で培った知見は指導に生きるのか?
- 「さすがにすごいな」同世代・大迫傑への尊敬
- 東京五輪後は「正直モチベーションが続かなかった」
- 伝えていきたいのは走る楽しさ、喜びとは?
- 2021年ニューイヤー駅伝優勝は「MGCよりも嬉しかった」?
- 富士通の後輩・浦野雄平は「私より断然練習する」
- 藤田敦史、野口みずき…マラソンで憧れた姿
- 明治学院大学で走ることに興味を持つ中高生へのメッセージ
指導者としての未来を見据え、しっかりと過去についても向き合ってくれた中村の合計60分超のインタビュー。前編と合わせて、ぜひお楽しみください。
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