#1042
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[創部10年での飛躍]東京国際大学「ヴィンセントと大志田マジック」

2021/12/17
中大では4年時に8区区間賞、コーチとして'96年の総合優勝に貢献した大志田。今度は監督で頂点を狙う
シンデレラストーリーはたった3人の部員から始まった。創部11年目の今季は最強留学生も擁して出雲を初制覇。箱根でもチャンスをうかがう彼らのこれまでを紐解く。(初出:Number1042号[創部10年での飛躍]東京国際大学「ヴィンセントと大志田マジック」)

 新入生が一堂に集う、2011年度の入学式の日だった。東京国際大のキャンパスに、一風変わった校内放送が流れた。

「駅伝部を立ち上げるから、興味のある学生はぜひ来てほしい」

 そう呼びかけたのは、駅伝部の監督に就任した大志田秀次である。すでに高校生をスカウトする時期は過ぎていて、駅伝部を立ち上げたものの部員はゼロ。いても立ってもいられなかったのだろう。校内放送に一縷の望みをかけて、部員を募ったのだ。

「別の大学の陸上部推薦で落ちた子がいると聞いていて、最悪の場合は彼だけかなと。でもあと2人、陸上経験のある子と野球経験者が来てくれました。それとマネージャー志望の女子学生でしたね」

 部員3人、マネージャー1人。この小さな塊から駅伝部はスタートする。

 今や2年連続で箱根駅伝のシード権を獲得し、創部11年目の今季は出雲駅伝で初出場初優勝を飾るなど、東京国際大の評価は右肩上り。かつてのこの状況から大志田監督はいったいどんなマジックを繰り出していったのだろう。漫画であれば3人の中に隠れた逸材がいるかもしれないが、現実はそうではなかった。経験者の1人はさほど熱心ではなく、野球経験のあるもう1人も練習は休みがちだった。唯一意欲的だったのが、初代キャプテンを務めた池田大樹だ。

初代主将の池田は今も記録会などに出場。 ©Yuki Suenaga
初代主将の池田は今も記録会などに出場。 ©Yuki Suenaga

 池田は高校まで陸上をやっていて、5000mの自己ベストは15分28秒だった。この記録では大学でやるのは厳しいと考えていたが、例の校内放送を耳にし、ふらっと監督の元を訪ねた。

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photograph by Asami Enomoto

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