「僕としては、4回転を決めないとこのマツケンサンバのプログラムは完成しないと思っていました。すごいジャンプを跳んでいるのに、なんだか楽しそう、と思ってもらえるのが目標。マツケンサンバが持っている、この日本を明るくする力ぐらいの楽曲の素晴らしさは、楽しいだけじゃなくて、4回転なくしては伝えられないと思っていました」
マツケンサンバに込めたメッセージについて、織田さんはそう語ります。

織田さんの現役復帰のきっかけとなったのは、プロスケーターとして活躍するなか、2021年に受けた右膝の手術でした。
「スケーター人生で一番の底でした。何も出来ない状態になり、それが本当に悲しかったです。2022年になって少しずつ感覚は戻ってきたけれど、やはり昔のように身体を動かせない自分に戸惑いがありました。プロとしてショーに出るなら、作る側、滑る側の責任もある。現役のときのように練習しないと、自分を戻せないと思いました」
プロとしてのクオリティを上げていくために、現役選手という肩書を背負うことで、自らを鼓舞しようと決意。2022年11月に復帰届を提出しました。そこから練習を重ね、4回転ジャンプを取り戻した織田さん。2024年12月の全日本選手権に、11年ぶりの出場が決まりました。
「すごい怖かった」全日本選手権…でも今回は?
「僕は(一度目の)現役時代、全日本選手権って、いつもすごく怖い気持ちで臨んでいました。精神的なプレッシャーに打ち勝てなかったんです。こんなにワクワクして臨む試合は、今までありませんでした。プロとして10年やってきたので、これだけの素晴らしい会場でたくさんの方に見ていてだけることへの感謝の気持のほうが強かったです」
ショートの「マツケンサンバ」では4回転を決め、5位発進。フリーは最終グループに入ると、大きなミスは冒頭の4回転だけにとどめる、見事な演技。なんと11年前の全日本選手権と同じ、4位に輝きました。織田さんは、演技中の心境をこう振り返ります。
「僕のスケート観は『会場と一緒になって、手拍子してもらって、みんなが笑いながら観てくれる、自分の楽しめる』というもの。『このおじさん、すごい頑張ってて苦しそう』って思われたら嫌だから、絶対に笑顔で楽しく滑ろうって思っていました。3回転ルッツに行く前に、お客さんの前でマツケンサンバのポーズをするのですが、お客さんがすごく盛り上がって、僕も笑っちゃって『ルッツ、笑って跳べへん』って思って緊張しました。それくらい、お客さんの表情が今までで一番見えていて、本当に嬉しかったです」

動画では、復帰を志した詳しい心境から、2度目の現役を終えた今の気持ち、そして後輩への思いや、伝えていきたいことなど、以下のテーマについて深く語っています。
- 現役復帰を志したワケ
- マツケンサンバの選曲理由と、なぜ自分で振り付けたか
- 全日本選手権の演技中、“早着替え”の袖が出てこなかったハプニング
- 40歳で4回転ジャンプを跳んでギネス申請!の計画
- 中田璃士選手、鍵山優真選手ら新世代スケーターへの驚き
- 国スポで友野一希選手との間に生まれた「男の会話」
- カナダとロシアのコーチに学んできた織田さんが求める理想のスケート
- 今でも滑り続けるモチベーションの根源
最後に織田さんはこう語りました。
「フィギュアスケートって、もっともっと楽しいんだよ! というのを、引退してからも伝え続けていきたいです」
笑いあり、涙ありのロングインタビュー65分。ぜひ御覧ください。
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