今回は大波乱となった全日本選手権男子についてピックアップ。優勝した鍵山優真選手と他の選手の違いを、選手たちの言葉をヒントに野口さんがひも解きます。《SPで見事な「マツケンサンバ」を披露した37歳を徹底解説した「織田信成」編も同時公開しています》
「公式練習や6分間を見ている限りでは、前回の全日本選手権のような“神試合”が来ると思っていました。それが蓋をあけたら、まさかのミスの連続でした」
23年末の全日本は、フリー最終組の6選手全員がほぼノーミスの演技を披露し“神試合”とファンの間で伝説に。その再来が来るかと思っていたと野口さんは話します。しかし本番の演技では特にジャンプのミスが目立ち、それぞれの選手が本来の力を出しきれなかったとも言える結果になりました。
この原因に野口さんは「宇野昌磨選手の引退」を挙げます。
「宇野昌磨選手が引退して、『だれにでもチャンスがある』という状況になりました。鍵山選手が半歩リードしていますが、プログラムの構成などを見ると、誰が勝ってもおかしくない状況ではありました。その中で『日本一になれるかも』というプレッシャー、ものすごい緊張感の中で臨んだ選手や、逆にふわふわした感じで臨んでしまった選手などがいたと思います」
その中で鍵山選手が優勝をつかみ取った要因を、野口さんは「全日本チャンピオンになる」ことに誰よりも早く、シーズン前半から向き合ってきたからだと分析します。その思いが強いがゆえに、グランプリシリーズフィンランド杯などでは大きなミスが出るなど、不調に陥っていた鍵山選手ですが、「自分が日本のエースにならなければ」というプレッシャーと戦い続け、力を出しきれなかった時期を経て、「全日本王者になる」という思いとしっかり向き合うことができました。
逆に他の選手達は、「全日本チャンピオン」の重みとしっかり向き合う時間がないまま勝負の日を迎えてしまったことが要因ではないかと野口さんは分析します。
話題はほかにも
- 恐るべき16歳・中田璃士選手の人となり
- SP滑走順、織田→中田のとき、どのように過ごしていたか?
- 壺井選手に“喝”を入れた中野コーチの一言とは?
- 四大陸選手権と世界選手権の両方に壺井選手が選ばれた理由
- フリーの演技後過呼吸に。佐藤駿選手が背負ったもの
などなど、トークのテーマは多岐にわたりました。
ますます代表争いが熾烈になっていく日本男子フィギュアスケート。ここからオリンピックに続いていく四大陸選手権、世界選手権を楽しむ前に、ポッドキャストでぜひ熾烈な戦いを振り返ってみてください。(1月9日収録)
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