#1154
巻頭特集
記事を
ブックマークする
【スワローズ】山田哲人のトリプルスリーを支えた“長打改革”とは…本塁打急増は「びっくりしたし、正直、怖かった」《師匠・杉村繁の証言も》
2026/10/25
体重70kgほどだった華奢な青年は、日本球界で唯一、トリプルスリーを3度も達成する大打者に成長した。感覚派が三十路を越えて掴んだ一発の極意とは何か。20歳の頃から支え続けた「師匠」の証言で探る――。(原題:[恩師が明かす]山田哲人「二人三脚で手にした企業秘密」)
雨煙る神宮球場。お立ち台から興奮に沸くスタンドを見渡した34歳の山田哲人は、思いを噛み締めるように深く頷いた。
「やっぱり、ホームランは気持ちいい」
9月26日、ヤクルト対中日戦。3-3で迎えた9回裏1死二塁のチャンスで代打に立ち、相手左腕が投じたスライダーに対し、左足を踏ん張りながらバットを振り抜いた。レフトスタンドに飛び込んだ劇的なサヨナラ弾は、プロ16年目にして初めて放った代打ホームランだった。
ここ数年は脚の故障を繰り返し、今季は左内腹斜筋の肉離れなどで長期離脱を強いられた。8月下旬に一軍復帰し、出場30試合、56打数15安打、2本塁打。プロ2年目に次ぐ低調な数字に終わったシーズンで、秋風が吹く季節にようやく飛び出した本拠地1号でもあった。
その数日後、山田に問いかけてみた。どうやってホームランを打つのか――。
返ってきたのは意外な言葉だった。
「それを掴んだっていうか、言葉にできるようになったのは本当に最近のことだよ」

日本プロ野球で唯一、トリプルスリーを3度達成した男だ。華々しいその全盛期ではなく、三十路を越えて掴んだという“何か”。山田はニヤリと笑って、こう続けた。
「若い頃は感覚派だったから分からなかった。今は言葉にできる。でも企業秘密。十何年もかけてやってきたことを、そんな簡単には教えられないよ」
ヤクルトのコーチとして山田を才能開花と飛躍に導いた「師匠」杉村繁は、その言葉を伝え聞くと、愉快そうに目を細めた。
特製トートバッグ付き!
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Hideki Sugiyama
記事


