データの後押しがなければ、これほどの投資は認められなかったに違いない。
リバプールは2026-'27シーズンに向けて、20歳のジェレミー・ジャケをフランス1部のレンヌから最大6000万ポンド(約130億円)もの移籍金で獲得した。
1998年W杯優勝メンバーのクリストフ・デュガリーはフランスのラジオ番組でこう揶揄した。
「レンヌはリバプールをカモにした。この金額は常軌を逸している」
だが、リバプール側にカモにされた感覚は一切ないだろう。ここ6年で2度プレミアリーグを制している彼らは、独自の数理モデルで「お買い得」の選手を発掘してきたからだ。
投資の判断にデータを使わないわけがない。BBCはチーム関係者を取材し、「データがこのタレントへの巨額投資の裏付けとなった」と報じた。
これまでサッカーは「複雑系」と見なされ、データは役に立ちづらいと考えられてきた。しかし、それは迷信だったのだ。

ケンブリッジで理論物理学の博士号をとった担当者
すべての始まりは、2010年10月のフェンウェイ・スポーツ・グループ(FSG)による買収だった。
FSGはMLBのボストン・レッドソックスに選手の能力やチーム戦略を統計データで評価するセイバーメトリクスを導入し、'04年にワールドシリーズ優勝を果たした成功体験がある。いわゆるマネーボールだ。
彼らは野球界の成功モデルをサッカーに応用できると考え、リバプールでもデータ部門を設立した。その担当者として採用されたのが、ケンブリッジ大学で理論物理学の博士号を取得したイアン・グラハムだった。
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