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【阪神】「本当に飛んでいる感覚でした(笑)」中野拓夢が明かす甲子園“胴上げ”とリーダーとしての責任感「監督は『何かあったら全然、言ってきてくれ』と」
真っ黒な空が視界いっぱいに広がった。毎日見上げてきた夜空なのに、いつもと全く違って見えた。
「きれいだなあ……」
ナインの手で宙を舞っていた中野拓夢は、興奮の中でも夜空が妙にきれいに見えたことを覚えている。
「拓夢! 中野さん! 会長!」藤川球児監督の胴上げが終わると、誰からともなく声が上がり、またたく間に広がった。観念した中野は照れくさそうな表情を浮かべ、グラブを置くために輪の外へ出た。ちょうどそこにいたのは、胴上げを終えていた藤川監督だった。監督に腰を抱かれ、再びナインが待つ輪の中心に導かれると、選手会長である背番号51の胴上げが始まった。
公称67kgの体は監督に比べて小さく見えた。バレーボールのトスのようにポンポンと高く投げ出される。かつてのヤクルト・若松勉監督の「1回転胴上げ」を思い起こさせたが、完璧なボディーバランスでVの字を作ってみせた。こんなささいなところでも、強くしなやかなフィジカルに感心してしまう。中野は'22年から連続試合出場を続けているタフネスだ。
「僕の体が軽いのもありますけど、本当に飛んでいる感覚でしたね(笑)。結構、上まで上がっていたと思う。なんか、すごく気持ちいいなあと思いながら。本当に、初めての感覚でした。みんなが胴上げしようと言ってくれて、本当にうれしかった」
選手会長の肩書があってもなくても、今年の中野は阪神のリーダーといえた。いわゆる「ボス」タイプではないが、どんな場面でも勇気を持って、責任を持って、グラウンドに緊張感をもたらした。
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