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「FAによるものやったのかな」近本光司が直面した開幕前の“不安”と38打席無安打というトンネル「結果に囚われているなって」【阪神タイガース】
ラストボールは足を止めた近本光司のグラブに収まった。
「本当にホッとしています」
自身初の優勝を経験した2023年9月14日と同じ甲子園のセンターで歓喜の瞬間を迎えたが、景色は違った。
9月7日、広島戦の9回。先頭の小園海斗の打球を捕球した。「もうないかな」。2年前は二塁・中野拓夢がウイニングボールをつかんだ。今回も自分ではない気がしていたが、そんな予感はあっさり裏切られた。最後の打者・秋山翔吾が打ち上げた白球は真っすぐに中堅方向へ。少し背走すると、正面を向いて大事そうに両手で包み込む。前を向いて走り出した近本は最高の笑顔だった。両翼の熊谷敬宥、森下翔太とハイタッチして、歓喜の輪へ。
「最後また飛んできて、それでゲームセットやったので、うれしいというか、ホッとするなという気持ちです」
いつもの冷静さはない。興奮で声が上ずった。
開幕の1週間前、近本はこう話していた。
「4月の1カ月は、前半の方向性を決める1カ月になると思う」

自主トレやキャンプで取り組んできたことが、どう表れるかは“本番”、つまりシーズン中の試合でしか分からない。だから毎年、4月の1カ月でフィードバックを取りながらテーマを決めていく。
しかし、今年はそううまくはいかなかった。4月が終わっても方向性が見えてこない。5月も状況は変わらなかった。「これかもしれない」と思うものは出てきても、次の日になれば全然だめ。「やばいな……」。毎日正解が分からないなんてプロ7年目で初めてのこと。焦りは募っていった。
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