#1122
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「日本GPで(角田)裕毅の敗退要因は…」元F1ドライバー・中野信治が教える“超観戦術”②予選編「なぜ予選と決勝のラップタイムは全く違う?」

コンマ1秒を争う予選は、アタックラップ前のコース状況にも注目
時速300kmの世界をどう見れば、より楽しむことができるのか。サーキットの特徴、ドライバー同士の駆け引き、タイヤ戦略まで。元F1ドライバー中野信治が、中継をもっと深く味わうためのコツを「フリープラクティス」「予選」「決勝レース」の順に伝授する。今回は「予選」編です。(原題:[テクニカル解説]中野信治が教えるF1超観戦術(2) ヒュルケンベルグが予選で速い理由とは?)

QUALIFYING

 2日目後半のセッションは3段階方式の予選です。予選では、ブレーキやスロットルの精度、それにライン取りを一発にまとめ上げる力が求められます。予選仕様のセットアップに適応したり、トラフィックの状況を見極めたりと、ドライバーがやるべきことは多岐にわたります。そんなプレッシャーの下、マシンのポテンシャルを100%に近い領域で引き出し、全コーナーをミスなく走る。これは本当に難しい。

 難しさの根本は、「余計な力が入る」ことにあると思っています。一発のアタックラップでは集中力を極限まで高めながら、体の力だけはすっと抜けている状態が理想です。そうすると、全身のセンサーがマシンの挙動を繊細に感じ取り、手足が鋭く反応して最適な走りができる。それをコンスタントにやる稀有なドライバーが、ニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)ではないでしょうか。重圧への耐性が強く、無駄な力が抜けていて、安定して速さを発揮してきました。

特製トートバッグ付き!

「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Takashi Shimizu / Kiichi Matsumoto

0

0

0

この連載の記事を読む

もっと見る
関連
記事