#947
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「二人きりの小さな戦争を終えて」ザギトワとメドベデワは同門のライバル…そして“普通の女の子”同士《平昌五輪ハイライト/2018年》

左からエフゲニア・メドベデワ、アリーナ・ザギトワ
その差はわずか、1.31点だった――。ケガから復帰間もない絶対女王メドベデワと、今季シニアデビューし大舞台に上り詰めたザギトワ。同じコーチに師事するふたりが見せた激闘の真実に迫る。(初出:Number947号 [ロシアの誇りにかけて]アリーナ・ザギトワ&エフゲニア・メドベデワ「二人きりの小さな戦争」)

「まだ実感が湧いていません。オリンピックで優勝したことを理解するのに、少し時間が必要だと思います」

 1998年長野オリンピックのタラ・リピンスキーに次ぐ、史上2番目に若い女子チャンピオンとなったアリーナ・ザギトワは、ロシア語通訳を通してそう語った。

 背筋を凛と伸ばした姿勢、少し憂いを含んだ整った顔立ちは、ティーンエイジャーながら新女王に相応しい存在感があった。

 このザギトワと、エフゲニア・メドベデワの間で金メダルが争われることは、大会前から予想されていた。

 2月21日のSP、メドベデワはショパンの『ノクターン』で完璧な演技を見せた。自らが持つ歴代最高スコアを上回る81.61点が出ると、嬉しそうに笑顔を見せた。

 だが3人後に滑ったザギトワは、『ブラック・スワン』で勢いのある演技をノーミスで滑り切り、82.92点とメドベデワをさらに上回るスコアを出した。

 点差の決め手は、ジャンプの難易度だ。ザギトワには3回転ルッツ+3回転ループという、メドベデワも含めてシニアの現役女子の中で、他の誰にもできない武器がある。過去に試合で数人しか成功させたことのない、難易度の高いコンビネーションだ。

 SP後の会見でメドベデワはこう語った。

「アリーナの点を見たときは、驚きはしませんでした。私はいつも、彼女がどんな練習をしているか見てきていますから」

ザギトワが見せた「5連続ジャンプ」の衝撃

 15歳と18歳の二人は、エテリ・トゥトべリーゼコーチのもとで練習する同門生である。普段の関係について問われ、「エフゲニアとは、良い友だちです。でも試合になればライバル。もちろん悪意はないけれど」とザギトワが通訳を通して語ると、メドベデワは英語でこう付け加えた。

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photograph by Asami Enomoto/JMPA

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