「まだ実感が湧いていません。オリンピックで優勝したことを理解するのに、少し時間が必要だと思います」
1998年長野オリンピックのタラ・リピンスキーに次ぐ、史上2番目に若い女子チャンピオンとなったアリーナ・ザギトワは、ロシア語通訳を通してそう語った。
背筋を凛と伸ばした姿勢、少し憂いを含んだ整った顔立ちは、ティーンエイジャーながら新女王に相応しい存在感があった。
このザギトワと、エフゲニア・メドベデワの間で金メダルが争われることは、大会前から予想されていた。
2月21日のSP、メドベデワはショパンの『ノクターン』で完璧な演技を見せた。自らが持つ歴代最高スコアを上回る81.61点が出ると、嬉しそうに笑顔を見せた。
だが3人後に滑ったザギトワは、『ブラック・スワン』で勢いのある演技をノーミスで滑り切り、82.92点とメドベデワをさらに上回るスコアを出した。
点差の決め手は、ジャンプの難易度だ。ザギトワには3回転ルッツ+3回転ループという、メドベデワも含めてシニアの現役女子の中で、他の誰にもできない武器がある。過去に試合で数人しか成功させたことのない、難易度の高いコンビネーションだ。
SP後の会見でメドベデワはこう語った。
「アリーナの点を見たときは、驚きはしませんでした。私はいつも、彼女がどんな練習をしているか見てきていますから」
ザギトワが見せた「5連続ジャンプ」の衝撃
15歳と18歳の二人は、エテリ・トゥトべリーゼコーチのもとで練習する同門生である。普段の関係について問われ、「エフゲニアとは、良い友だちです。でも試合になればライバル。もちろん悪意はないけれど」とザギトワが通訳を通して語ると、メドベデワは英語でこう付け加えた。
プラン紹介
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
この連載の記事を読む
記事


