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《独占インタビュー》「ああいうピッチャーって日本にいない」佐藤輝明がドジャース・スネルらとの対戦で感じた「しっかり当たれば、飛ぶ」の深い意味とは?【阪神タイガース】

2025/04/23
開幕から好調を維持する佐藤
やわらかなスイングから放たれた、メジャー屈指のサウスポーからの一発は、その打棒が間違いなく進化している証だった。そして開幕戦での初打席初アーチ。「今年のテルは違う」。虎党がそう思ったのも束の間、直後に築く三振の山。かと思えば、火を噴く打球にアルプスが燃える。まさに山あり谷ありの獣道。だが当の本人は揺らいでいない。深い思索の中で今日もバットを振り抜くのだ。(原題:[クリーンアップ・インタビュー(1)]佐藤輝明「考える大砲」)

 Good and bad fortune are like a twisted rope――禍福は糾える縄の如し。

 DeNAを京セラドーム大阪に迎えてのホーム開幕3連戦、佐藤輝明は禍いの真っ只中にあった。

 スタートは順調、いや、最高だった。広島での開幕戦、彼のバットは最初の打席でライトフェンスの向こう側へとボールを放り込んだ。チームの勝利に直結した決勝2ランに、プロ5シーズン目を迎えた佐藤の大ブレークを予感したファンも少なくなかったことだろう。

 予兆は、あった。

 3月16日、東京ドームでロサンゼルス・ドジャースと対戦した阪神は、前日のシカゴ・カブス戦に続き、3-0の勝利を収めた。勝負を決めたのは、4回裏、ブレーク・スネルから佐藤が放った3ランだった。

 最速100マイル(約161km)、平均でも95.7マイル(約154km)の強いフォーシームにチェンジアップ、カーブ、スライダーなどの鋭い変化球をちりばめるスネルは、通算の奪三振率で長いメジャーリーグの記録を塗り替えうる怪物左腕である。特に、左バッターに対する強さは圧倒的で、9シーズンにわたる全キャリアにおいても15本、昨シーズンに関していえばたったの2本しか本塁打を打たれていない。

 そんな怪物から、佐藤は打った。今年こそ、ついに今年こそ才能を全面的に開花させてくれるのではないか――期待は、いやが上にも高まっており、加えて、開幕戦での第1打席ホームランである。これでテンションの跳ね上がらない阪神ファンは、そういるものではない。

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photograph by Takuya Sugiyama

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