#1115
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「ファウルだ、ファウルじゃない、と論争に」大金星目前…パリ五輪・フランス戦で河村勇輝と日本代表が得た教訓とは?《証言:吉井裕鷹、比江島慎、C・ゲインズ》

パリ五輪のフランス戦でシュートブロックに跳んだ河村
残り16.4秒、4点リード。大金星は目前だった。しかし、獅子奮迅の活躍を見せていた河村勇輝に吹かれた笛がすべてを変えた。その時、間近にいた3人の男たちは何を感じたのか。悔恨を残しつつもNBA挑戦の足掛かりとなった激闘の裏側に迫った。(原題:[パリ五輪 3人の証言]日本vs.フランス「逞しき敗者の記憶」コーリー・ゲインズ/吉井裕鷹/比江島慎)

 開催国のフランスから大金星を奪うまであと10秒だった――。

 48年ぶりに自力出場となったパリ五輪グループフェーズ2戦目のフランス戦。日本は残り8分31秒に、エース八村塁が2回目のアンスポーツマンライクファウルを犯して退場するアクシデントに見舞われながらも、河村勇輝とジョシュ・ホーキンソンを軸に戦い、残り16.4秒、84-80のスコアでリードを奪い、勝利は目前に迫っていた。

 4点のビハインドを負ったフランスはタイムアウトを請求。ラストの攻撃において、インサイドの番人、ルディ・ゴベアにボールを託して勝負に出る。日本はこの攻撃を阻止するが、このとき、河村がゴール下までカバーに行ったことにより、ディフェンスの陣形が乱れてしまう。

 ゴベアからキックアウトされたパスは21歳の新鋭、マシュー・ストラゼルに渡る。すかさず、渡邊雄太がシュートチェックに行くものの、横にスライドしたストラゼルは体勢を崩しながらも3ポイントを放ち、そこで急いでディフェンスに戻った河村が、『4点プレー』となる痛恨のファウルを宣告されてしまうのだ。このとき残り10.2秒。延長で力尽きた日本は90-94で敗れた。

第2戦の舞台は仏北部リール郊外のスタッド・ピエール=モーロワ。NBA新人王ウェンバンヤマ擁する開催国フランスを相手に、4Q途中で八村を退場で欠きながら健闘するも延長戦の末に惜敗
第2戦の舞台は仏北部リール郊外のスタッド・ピエール=モーロワ。NBA新人王ウェンバンヤマ擁する開催国フランスを相手に、4Q途中で八村を退場で欠きながら健闘するも延長戦の末に惜敗

 試合後、河村は「ポイントガードとして勝たせられなかった自分のせい。どうであれ、審判のジャッジがすべてで言い訳はできません」と責任を負った。そして日本はグループフェーズで3連敗を喫し、目標としていた決勝トーナメントには進めず、フランスをあとにしたのだった。

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photograph by Kaoru Watanabe / JMPA

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