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「意味は最後までわかんなくて…」桐敷拓馬が語る岡田彰布が与えてくれた“称号”と直立不動で聞いた“愛のムチ”【虎戦士インタビュー】

2024/12/07
43ホールドポイントで最優秀中継ぎのタイトルを獲得した桐敷
その存在の大きさは、マウンドに送り出した数が物語る。夏場に入れられた活も、勲章への約束も、飄々とした指揮官の親心。授かった“普段通り”を合言葉に、鉄腕は虎のブルペンを支え続ける。(原題:[スペードのエース]桐敷拓馬「直立不動で聞いた愛のムチ」)

 岡田彰布監督との出会いが桐敷拓馬の野球人生を変えた。この2年間を振り返ると真っ先に感謝の言葉が口を突いた。

「先発をずっとやってて、去年の後半戦からですけど、中継ぎに呼んでいただいて。優勝の場面にもいれましたし。その後、侍(ジャパン)っていう経験もさせてもらったし。今年も1年間中継ぎとして使っていただいて、本当に感謝しかない」

 二軍で先発していた桐敷にとっての転換点となったのが、プロ2年目だった'23年7月18日に出場したフレッシュオールスター。救援登板し、9回を3人でピシャリ。ここで岡田監督に中継ぎの適性を見いだされ、後半戦からブルペン陣の一角に加わった。予想もしなかった出来事だった。フレッシュオールスターから帰阪し、コーチからは次回の二軍での先発予定を伝えられていた。その数日後。今度はコーチから「一軍で中(継ぎ)で上がるかもしれない」と驚きの知らせがあった。チームは前半戦、貯金11で首位ターンを決めていた。先発、中継ぎともに安定しており、「びっくりしました。チーム状態が良くて、入るところがない感じだったので」。昇格時も監督から直々の言葉はなく、桐敷から「よろしくお願いします」と挨拶をしただけだった。

 突然の中継ぎ転向に不安はあったが、「せっかくもらったチャンス。どんな場面でも投げて、しっかり結果を残して優勝の一員となりたい」と覚悟を決めた。その言葉通り、イニングまたぎ、ピンチでの火消しとどんな場面でも仕事を果たした。岡田監督の信頼を勝ち取り、勝ちパターンに定着。27試合(うち先発2試合)で2勝0敗、14ホールド、防御率1.79を記録し、リーグ優勝、日本一に貢献した。めざましい飛躍を遂げ、指揮官が与えた“称号”は「スペードのエース」。「意味は最後まで分かんなかったんですけど(笑)、そうやって言ってもらえたのはありがたかったですね」と感謝する。

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photograph by SANKEI SHIMBUN

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