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「自分のやりたいようにプレーしますよ」リバプール・遠藤航はいかに“名門の心臓”になったか?《盟友ファン・ダイクは「ワタ、ワタ、ワタ」と連呼》
試合終了の笛は、聞こえなかった。
2024年5月19日。6万人の大合唱は、たった1人の男のためにあった。残業嫌いなイギリス人も、この日ばかりはパブへ急ぐことはなく、スタンドで声を張り上げ続けた。満員の観客から送られる惜別のカーテンコールはチームのエンブレムにも刻まれたこの一節。
You'll Never Walk Alone――。
リバプールにプレミアリーグ初優勝やCL制覇を含む8つのタイトルをもたらした名将ユルゲン・クロップのラストマッチ。成績も然ることながら、その情熱で指揮官は誰よりもこの港街で愛された。9シーズンにもわたり指揮をとった男が、最後に信頼しピッチへ送り出した11人。円陣が解けると、その中心に遠藤航は立っていた。
「今日はお祭り感がありましたね。ただ、アンフィールド(リバプールの本拠地)は常にこの熱量なんですよね。いつも背中を押されるというか、むしろダメな時こそ応援してくれるっていう。チームの状態が悪くなった時も、試合後には拍手して称えてくれるんですよ。俺が来てからは、ブーイングも一回もされてないんじゃないかな。クロップもそうですけど……愛があるというか。一緒に闘ってる感がありますよね」
「序列最下位」から1年足らずで中心選手に。
昨年、日本からきたプレミア初挑戦の30歳がリバプールのスカッド入りを果たしたとき、すでにシーズンは始まっていた。当然、序列は最下位から。だが逆境を跳ね返すのが遠藤の神髄である。もともと、一気に全てを掴み取るタイプでもない。信頼も実績も一歩ずつ。カップ戦で経験を積み、リーグ戦でも出場機会を徐々に増やしていった。
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