(初出:Number PLUS完全保存版 内田篤人 2006-2020 長谷部誠 「あえて、おめでとうと言わせてください」)
「珍しいな」
着信記録に表示された名前を見て、最初にそう思いました。内田から電話がかかってくることなんて、ほとんどないので。折り返すと、現役を引退すると告げられました。
「俺、止めたほうがいいの?」
僕が口にしたのは、そんな軽口でした。でも「もう決めましたから」という彼の返事を待つまでもなく、彼の決断を受け入れていましたね。
「やめて何やるんだ? お前できることないだろう……」
「じゃあ、ハセさん、仕事作ってくださいよ」
交わした会話はそれくらいかな。こういうとき、言葉に力はないのかもしれないですね。それに、その発言とは裏腹にいろんなことを考えているのが内田という人間ですから。
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