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「4回転アクセルをなんとしても成功させたい」羽生結弦が世界選手権後に語った“あと8分の1の推進力”<静かな決意/2021年>

2021.3.25 World Championships
全日本選手権に続く今季2戦目として迎えた、世界選手権の大舞台。ショートを首位で折り返すも、わずかに生じたほころびから、銅メダルで戦いを終えた。その中で彼が見出したのは、自身の夢の実現への渇望だった。(初出:Number PLUS FIGURE SKATING TRACE OF STARS 2020-2021シーズン総集編[世界選手権で得た決意]羽生結弦「あと8分の1の推進力」)

 演技が終わり、どれだけ時間が経ったか。

 取材の場に姿を見せた羽生結弦は、記者たちの質問にいつものように丁寧に答え続けた。

 その語り口は静かだった。時に試合直後とは思えないような穏やかさを感じさせるほど―、どこまでも静かだった。

 静かさの中にはまず安堵と、その裏に秘めた情熱があった。そして、どこか明るさも漂わせていた。

 2020─2021シーズンの世界選手権は異例の大会となった。

 コロナ禍によって昨シーズンは中止となり、2年ぶりの開催だった。場所はスウェーデン・ストックホルム。開催されるとはいえ、コロナの影響は免れなかった。無観客での実施となり、選手は現地到着後にホテルでの隔離を経るなど、いわゆる「バブル形式」のもとで大会期間中を過ごすことになった。

 その中に羽生もいた。全日本選手権から約3カ月、それまでと同様に、かたわらにいるはずのコーチが不在の中、1人で練習を重ねて迎えた大会であった。

 3月21日にストックホルムに到着した羽生は公式練習を経て、25日、ショートプログラムに臨んだ。

 曲は『Let Me Entertain You』。その滑りは「華麗」という言葉そのものだった。腕を組み、表情を決めたスタート、指差しのポーズ……。観る者を誘うようなその振付は、無観客であることを忘れさせる華やかさに満ちていたし、観客席で見守ったボランティアらの歓声が彩りを添えた。

 全日本選手権ではスピンの1つがノーカウントとされた。そこもしっかり修正を施し、パーフェクトな演技でフィニッシュ。得点は106・98点。自身の持つショートの世界記録を超えても不思議はない滑りを見せた。

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photograph by Yukihito Taguchi

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