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「負けた中で何を考え、自分の限界をどう超えるか」羽生結弦19歳が見つけた“王者の心”【playbackソチ五輪金メダル】
日本男子フィギュア初の五輪金メダルを、羽生結弦が手にすることになる2月14日。
その日は、ショートの記者会見終了が午前1時で、フリーの公式練習が午前10時過ぎからというハードなスケジュールだった。疲労が抜けないまま迎えた40分間の練習で、ショート2位のパトリック・チャン(カナダ)は、時間いっぱい4回転の練習を続けた。
ところが羽生は、氷に降りて5分後にキレ味の良い4回転を1本降り、曲を掛けて4回転2種類を成功させると、わずか20分でクールダウンを開始。さらに最終滑走者の曲『リバーダンス』が流れると、軽快なリズムでステップの物まねを始めたのだ。
「試合と練習は全然違う。調子が良い悪いは関係ない。スケート自体が好きなので、それを一生懸命にできる事が幸せ。僕は僕のペースで、僕がやりたいことをやるだけ」
ショートを終えて、チャンとは約4点差。優勝を確信できる点差ではないが、金メダルへのすべての伏線を張り終えた達成感が溢れていた。それはチャンを超えたいと願った4年前からの計画だった。
試行錯誤して追い続けたライバルの背中。
今から4年前、ジュニアの世界王者としてシニアに上がった15歳の羽生は、こう言った。
「僕はレジェンドになりたい! 全日本ノービスに最年少優勝とか、全日本ジュニアで2連覇はしたけれど、日本初の五輪金とか、人類初の4回転アクセルが僕だったらいいな。羽生結弦の名前を歴史に刻みたい!」
鼻息荒くスタートしたシニアの1年目。'10年のロシア杯で初めてチャンの滑りを生で見た。卓越したスケーティング技術に見とれ、自分の練習そっちのけでチャンを観察した。
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