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「駅伝は自己犠牲の世界ですから」山の神・柏原竜二が考える『箱根駅伝 10の論点』<「奨学金&お小遣い」論争には持論も>

2023/12/22
箱根駅伝が生んだ最大のスターとの呼び声も高い2代目“山の神”。自身が経験したからこそ分かるスポットライトのまばゆさと、プレッシャーの大きさ。第100回大会という節目を迎えるいまだからこそ、このレースが持つ特殊性を10個のトピックで考える。

1 箱根駅伝のスターとは

 これは難しいですね。今まで名だたる選手たちが箱根駅伝を疾走してきましたが、箱根のスターと言われることは少ない気がします。連続で区間賞をとったり、勝負を決めたり、視聴率の良い放送時間帯に走ることもスターと呼ばれるための条件のひとつかもしれません。

 ただ、2区こそエース区間だという論調がいまだに残っているのは、疑問ですね。僕も現役当時、他大学の監督に「柏原は2区を走るべきで5区じゃない」とか言われたこともありましたけど、駅伝で勝つための手段として2区を重視するのであれば分かりますが、エースは2区という観点は違っていて、最善を尽くすために2区にエースを、というのが正しいと僕は思っています。私が思う駅伝は自己犠牲の世界ですから。ちなみに僕にとってのスターは今井(正人)さんと竹澤健介さん。特に竹澤さんは全日本大学駅伝での走りをコマ送りにして見ていたぐらい僕にとっては大スターです。

2 印象に残っている大会

 ひとつは同じ福島県人の今井さんが山を登っているシーンです(第81回〜第83回、3年連続区間新記録を達成)。福島県は陸上文化が根強く、当時、高校生だった僕らにとって今井さんはスーパースターで、テレビでは毎週のように今井正人特集があった。その後ご本人にお会いして、今井さんの記録に挑戦したいと思っていたので、翌年(第84回)、早大の駒野亮太さんが記録に7秒まで迫ったときにハラハラしながら見ていたのも記憶に残っています。他には日体大優勝に貢献した、暴風の中での服部(翔大)くんの山登り、最近では東海大の初優勝。やっぱり初優勝や久々の優勝は、記憶に残っていますね。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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