もうすぐ100回の節目を迎えようとしている箱根駅伝。その歴史上で最大のスターが「山の神」だろう。順天堂大学・今井正人、東洋大学・柏原竜二、青山学院大学・神野大地。3人が顔をそろえた貴重な機会に、初代は最年長者らしく鷹揚に構え、引退後はメディアでも活動する2代目は要所で話を盛り上げる。3代目は先輩の言葉にじっと耳を傾け、時に自己主張を覗かせた。白熱した“神々の対話”。そのテーマは山上りの秘話、栄光と葛藤、箱根路を彩った衝撃のランナー、そして大会の未来――。
今井 3人が初めて集まったのは、ゲストで走った今年7月の福島・東和ロードレースだったかな。
柏原 あそこで3人が揃いましたね。
神野 でも、あまり踏み込んだ話はしていないですよね。
柏原 うん、腹の探り合いというか(笑)。
今井 今日は本音トークでいこう。この顔触れだとみんな5区をイメージすると思うけど、自分が「箱根駅伝」と言われて真っ先に思い出すのは2区を走った1年の時。イメージトレーニングもしていたのに、もう緊張で何がなんだかわからなくなって……。特に最初の10kmは雲の上を走っているような感じだった。
神野 体が動かなかったんですか?
今井 頭では突っ込んでいってるつもりなのにフワーっとしてたね。襷を18番目でもらって、うしろからきた国士大の坂斎(亨)さんにすぐに置いていかれたのに、ひとりでボーっと走っている感じだった。走り終わって、当時の総監督だった澤木(啓祐)先生にも「お前みたいな走りをするやつは初めて見た!」って怒られた(苦笑)。まぁ、「後半は区間3位以内だったんじゃないか?」と褒めてもらった記憶もあるんだけど。
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