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【独自データ重視のスカウト術も】ブライトンを飛躍させたオーナーは地元出身&元プロギャンブラー「8歳の頃からスロットに」

2023/06/23
2009年からオーナーとなったトニー・ブルーム。写真は'16-'17シーズン第43節で1部昇格を確実にした瞬間
今季最も成功したクラブのひとつとなったブライトン。その舵を握るのは、ギャンブルで財を成した勝負師だった。数学的頭脳によるユニークなクラブマネジメントの実態に迫る。

 ブライトン&ホーブ・アルビオンは今季、その122年に及ぶ長い歴史上で最高のシーズンを過ごした。プレミアリーグで6位に入り、クラブは来季、初めてヨーロッパリーグに参戦する。勝ち点や勝利数、得点などの項目でも、クラブとしてプレミアリーグで過去最高の数字を弾き出した。

 そんな見事なシーズンに主力として貢献した選手のなかには、三笘薫やフリオ・エンシーソのように、今季イングランドに初挑戦した俊英もいる。しかも前者の移籍金は推定270万ポンドで、後者のそれは950万ポンドだった。現在26歳の日本代表はリーグ戦で7得点5アシスト、19歳のパラグアイ代表は4得点2アシストを記録。どちらも印象的かつ重要なゴールも決めている。

 1億ポンド超のフィーが過去に7例もあるモダンフットボールの移籍市場において、この二つの移籍金は破格だ。今季に限っていえば、過去に1億ポンド以上で取引されたフィリペ・コウチーニョやジョアン・フェリックスよりも、三笘とエンシーソの方が格段に優れた活躍を披露した。ブライトンのこの二人は、実にコストパフォーマンスの高いバーゲンだったわけだ。

 つまりブライトンはギャンブルに勝ったと言える。三笘もエンシーソも元から特別な才能を備えていたはずだが、国際的にはほぼ無名だったし、プレミアリーグで通用するかどうかは誰にもわからなかった。ブライトンはそんな選手たちに、相場的には格安とはいえ円換算で億単位の資金を投じ、望み通り(あるいはそれ以上)に彼らの活躍を見た。そしてゆくゆくはその何十倍、何百倍もの利益を手にするはずなのだ。

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photograph by Getty Images

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