デゼルビ監督就任から急激にプレー時間を増やし、やがて絶対的なスタメン、確かな得点源となった三笘。プレミアの激戦や日々の練習をともにした仲間たちは、この26歳のタレントや人間性をどう見ているのか。
「ミトマはスペシャルだ!」
「あのドリブルは誰にも止められない」
「なんてこった! ものすごい才能だ」
昨冬あたりから、日本のスポーツニュースにはそんな三笘薫評が溢れていた。多くは現地の元選手や識者のコメントを引用したもので、それにファンの反応が加えられて記事になっている。ただそのなかに、チームメイトや監督、対戦相手の声を直接採録した一次情報はあまりなかったと思う。
では実際に日々の練習や試合でピッチに共に立つ彼の同業者たちは、この日本人ドリブラーにどんな印象を抱いているのか。4月から2カ月ほどイングランド各地を巡り、多くの試合を取材した筆者は、試合後のミックスゾーンや記者会見場でそんな質問を胸に、チャンスを窺っていた。
最初の好機は、5月4日にブライトンがホームでマンチェスター・ユナイテッドを1-0で下したリーグ戦の後にやってきた。その11日前に同じ相手とのFAカップ準決勝でPK戦の末に惜敗していたブライトンはこの日、試合終了間際のアレクシス・マカリステルのPKからの得点により、劇的な形で雪辱を果たしていた。選手もスタッフも報道陣も皆、すごく嬉しそうだ。
監督の会見と三笘の談話を聞いたあと、最後までメディアに対応していたダニー・ウェルベックの下へ向かう。色気のある笑顔を時々こちらにも向けてくれたので、地元記者との話が終わった後、ひとつだけ質問してもいいかな、と訊いてみた。
「カオル・ミトマについて……」と尋ねると、その途中で「誰だっけ?」と32歳のストライカーはジョークを飛ばして周囲の人々を笑わせた。
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photograph by Getty Images