アルテタの手綱さばきで今季プレミアリーグを快走するアーセナルだが、彼の就任当初からいまのようなトップスピードに乗れたわけではない。それを可能にしたのは2020年冬から始まった、計画性と一貫性ある戦略だ。現スポーツ・ディレクターと監督が主導してきたチーム作りの秘訣とは。
プレミアリーグで8位、8位、5位、そして今季は目下、首位を快走中――。ミケル・アルテタ監督が就任してから、アーセナルは少しずつ上昇曲線を描き、ここにきて一気に飛躍した感がある。
このスペイン人指揮官は、低い位置から素早くショートパスを繋いでゴールを目指し、相手ボールの際には高い位置からプレスをかける高度な戦術を掲げてきたが、それを形にするには時間を要す。その手法の浸透を促進させたのが、昨夏に獲得した二人の新戦力、ガブリエウ・ジェズスとオレクサンドル・ジンチェンコだ。
彼らはアルテタ監督がマンチェスター・シティでアシスタント・コーチを務めていた頃からの愛弟子で、ペップ・グアルディオラ監督の率いるシティでは完全なるレギュラーではなかったが、新天地で主力として重要な役割を与えられると、水を得た魚のように躍動している。
背番号9をまとうブラジル代表FWジェズスは開幕から目覚ましい活躍を披露し、8月のチーム最優秀選手に選出されるなど、序盤戦の主役のひとりになった。大柄ではないが体の軸が強く、柔軟かつ俊敏な動きでボールを収め、全般的なスキルにも秀でるため、ドリブルで仕掛けたり、ラストパスを出したり、相手が予測できないタイミングや角度からシュートを放ったりする。
ジンチェンコの果たす戦術的役割
ウクライナ代表で主将を務めるジンチェンコはグアルディオラとアルテタの指導により、現代的なレフトバックに成長し、いわゆる偽SBとして、味方がボールを持っている時はセントラルMFの位置に入って堂々とポゼッションを円滑にする(代表では試合開始から中盤を務めることが多い)。
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