名優と呼ばれる人たちは背中でも演技をするそうだ。顔面ドアップで涙を流すわけでも、台詞で悔しさを表現するわけでもなく、誰かになり切り、背中でその心のひだを表現する。
サッカーでは、ピッチとベンチの間にテクニカルエリアというスペースがある。そこで監督はピッチの選手たちに指示を送る。ということは、メインスタンドの観客には常に背を向けていることになる。テクニカルエリアの主役は監督で、基本的にはひとり舞台。そして、魅力的な監督たちは名優と同じように、背中で観衆に何かを訴えかけてくる。
Jリーグ、特にJ2界隈には背中で語れる監督が多く、魅力的で人間性豊かな人物が多い。本作はそうしたJ2周辺で活躍する監督の決断と采配に迫った一冊だ。普段は大分トリニータを、ホームはもちろんアウェイにも練習場にも足を運び、熱心に取材し続けているひぐらしひなつ(良い名前ですよねー)が著者で、近年のJリーグ、特にJ2を見ている人たちには必ず刺さるはずの本だ。
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photograph by Sports Graphic Number