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【東尾監督「絶対に結果を出せ」】松坂大輔が語る“ルーキー時代”「わざと試したオープン戦」~連載<怪物秘録>第24回~

2023/05/16
ついに迎えたプロ1年目のキャンプ。松坂は西武投手陣の層の厚さを目の当たりにする。そして迎えたオープン戦、結果が出ない登板が続くが、これは“怪物”の作戦だった。

 ルーキーイヤーのキャンプで、松坂大輔は人の目に晒され続けた。怪物と呼ばれていてもまだ18歳。肉体的な疲れに気疲れも加わって腸炎を患ったり、振りかぶったときの手首の見え方で球種がバレると騒がれたり、必要な投げ込みをフォーム修正のミニキャンプだと過剰に反応されたりと心安らぐ間のない日々を過ごしていた。

◆◆◆

 プロのキャンプでまず驚いたのは、一軍の投手陣の質の高さでした。西口(文也)さん、(石井)貴さん、デニーさん、森慎二さんの投げるまっすぐは速いし、変化球はキレるし……一緒に投げていてすごく楽しかったんです。高校のときは自分より速い球を投げるピッチャーを見たことなかったし、そもそも他の人が投げる150kmを間近で見たことがなかった。それだけのレベルのピッチャーが揃うブルペンで投げたこともなかったので、新鮮でした。自分と比べるとか、気圧されるような感じはまったくなく、こういうメンバーと一緒に投げられることがすごく楽しかったんです。

 慎二さんもデニーさんも、もちろん貴さんの球も速かったんですが、僕がもっとも速いと感じたのは西口さんのまっすぐでした。スピードガンで測れば他のピッチャーのほうが速かったのかもしれませんが、西口さんのまっすぐは質が違うんです。ブルペンで後ろや真横から見ていたんですが、リリースポイントが前なんですよね。どうすればああいう投げ方ができるのかと思って、西口さんの投げ方をずいぶんマネしてみました。下半身の使い方、動かし方、軸足の使い方、左足をステップするときの内側に絞る感じも……でも、いろいろやってみて、僕には無理だなと思いました(苦笑)。じつは西口さんも僕も身体、めちゃくちゃ硬いんです。でも、西口さんは内旋の動きに関してだけはめちゃくちゃ柔らかい。もしかしたら、僕とは身体の硬さの質が違っていたのかもしれませんね。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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