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「珍プレー好プレーの番組で何度も見た」場面が…松坂大輔が語る“プロ初登板”の記憶~連載<怪物秘録>第25回~

2023/05/30
注目ルーキーのシーズン初登板は、開幕4戦目の東京ドーム。日本ハムファイターズ打線を相手に初回から圧巻の投球を見せ、初勝利を挙げたが、本人はいたって冷静に自身を見つめていた。

 松坂大輔、プロ初登板の日がやってきた。1999年4月7日、怪物のデビュー戦を見届けようと4万4000人が集まった東京ドーム。この試合、ファイターズの片岡篤史を空振り三振に取った155kmばかりが語り継がれているが、あの日の松坂はすべてが高卒ルーキーとしては型破りだった。

◆◆◆

 当時の僕にはカード頭の大切さとか、東京ドームのマウンドが合ってるとか合ってないとか、そういう感覚はありませんでした。だから単純に「ああ、4番目か」と思っていましたね。ただ東尾(修、監督)さんは、投げ合った相手の芝草(宇宙、ファイターズの先発ピッチャー)さんがそうだったというわけでは決してなく(笑)、4試合目ならローテーションの中で少し力の落ちるピッチャーが出てくる確率が高いし、僕が結果を出しやすそうだと考えてくれたんだと思います。そこで結果を出して、そのままスムーズにいってほしいという東尾さんの配慮は感じていました。

 東京ドームについても、それまで投げたことがなかったし、合うも合わないもないですよね。あるとしたら、東尾さんが僕の投げ方、足の使い方を見て、「大輔に合いそうだ」と判断したということだったのかもしれません。実際に投げてみたら、確かに投げやすい傾斜でした。西武ドームよりも僕に合っていたような気はします。

 試合の当日は所沢の寮から東京ドームまで、車で行きました。広報担当だった後藤(明美、現在はライオンズの一軍用具チーフ)さんが運転してくれて……そんなにピリピリしていた記憶はありません。しょうもない雑談をしていたはずです。車の中でかかっている音楽がやけにかわいい選曲だったので、それを僕がイジったら後藤さんが「やかましいわ」とか言ったような……あれは女性アーティストの曲だったかなぁ。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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