松坂大輔、プロ初登板の日がやってきた。1999年4月7日、怪物のデビュー戦を見届けようと4万4000人が集まった東京ドーム。この試合、ファイターズの片岡篤史を空振り三振に取った155kmばかりが語り継がれているが、あの日の松坂はすべてが高卒ルーキーとしては型破りだった。
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当時の僕にはカード頭の大切さとか、東京ドームのマウンドが合ってるとか合ってないとか、そういう感覚はありませんでした。だから単純に「ああ、4番目か」と思っていましたね。ただ東尾(修、監督)さんは、投げ合った相手の芝草(宇宙、ファイターズの先発ピッチャー)さんがそうだったというわけでは決してなく(笑)、4試合目ならローテーションの中で少し力の落ちるピッチャーが出てくる確率が高いし、僕が結果を出しやすそうだと考えてくれたんだと思います。そこで結果を出して、そのままスムーズにいってほしいという東尾さんの配慮は感じていました。
東京ドームについても、それまで投げたことがなかったし、合うも合わないもないですよね。あるとしたら、東尾さんが僕の投げ方、足の使い方を見て、「大輔に合いそうだ」と判断したということだったのかもしれません。実際に投げてみたら、確かに投げやすい傾斜でした。西武ドームよりも僕に合っていたような気はします。
試合の当日は所沢の寮から東京ドームまで、車で行きました。広報担当だった後藤(明美、現在はライオンズの一軍用具チーフ)さんが運転してくれて……そんなにピリピリしていた記憶はありません。しょうもない雑談をしていたはずです。車の中でかかっている音楽がやけにかわいい選曲だったので、それを僕がイジったら後藤さんが「やかましいわ」とか言ったような……あれは女性アーティストの曲だったかなぁ。
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