現役最年長棋士の登場だ。
青野照市九段(70)は順位戦A級に11期も在籍した大棋士である。だが2022年度の成績は4勝20敗で、順位戦C級2組では1勝もできず、2つ目の降級点を喫してしまった。今年度に降級点を取ると引退が決まる。青野は「昭和」後期と「平成」前期で活躍した棋士で、本連載のタイトルにはそぐわないようだが、最後の年度になる可能性があるからこそ、どうしても話を聞いておきたかった。
まずは現在の自身の成績についてどう思っているのだろうか。
青野は嘆息して話し始めた。
「こんなに勝てなくなるとは思いませんでした。60代に入った時は、NHK杯など瞬発力が必要な早指し棋戦で力が落ちた実感はありました。でも順位戦など持ち時間が長い棋戦でそういうことは感じなかったんです。70代が近づいて、さすがに長時間の将棋は体力が持たなくなってきました」
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photograph by Kanta Yokoyama(Illustariton)