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<王座戦で藤井聡太六冠と激突>中川大輔八段の枯れぬ闘志「いま駒音を立てる人はあんまりいないよね」

2023/05/10

「パチリ」ではなかったし、「ピシッ」でもなかった。「ガキッ」という激しい駒音が夜の将棋会館に響いていた。

 4月6日、午後10時15分。王座戦二次予選決勝で、中川大輔八段(54)は横山泰明七段(42)との対局を前に駒を初形に並べていた。これから始まる千日手指し直し局を前に、再び闘志を奮い立たせているようにも聴こえた。

 千日手局は中川が優位に立っており、最終盤はAI(人工知能)もはっきり中川勝勢を示していた。ところが決め手を発見できずに、引き分けに持ち込まれてしまったのだ。

「自分がよさそうと思ったけど、決め手が見つからなかった。経験上、そういう時が一番危ないんだ。時間もないし、だから千日手で妥協したんです」

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photograph by Kanta Yokoyama(Illustariton)

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