#1045
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[無良崇人が見た2人の共鳴]宇野昌磨/鍵山優真「極限の跳躍へ」

前回大会銀メダリストと、初出場を決めた新鋭。史上最強と言われる日本男子シングル勢の2人がオリンピックシーズンに見せた進化の軌跡とは――。元四大陸選手権王者が技術と表現の両面から分析する。

 平昌五輪での銀メダルから4年。宇野昌磨の進化を、元四大陸選手権王者の無良崇人氏はこう分析する。

「ジャンプも演技面も、確実に成長しているのを感じています。ジャンプは、4回転ループとサルコウを再び入れ、フリーで4回転5本に挑んでいますし、表現面ではベテランの味が出て来ています。五輪のメダリストという立場でこの4年間戦い続けてきたことで、調子の波も乗りこえながら、進化を遂げたと思います」

 中でも大きな転機は、2季前からステファン・ランビエルに師事したことだ。

「ランビエルコーチは、宇野選手が元々持っていた“ここ一番の強さ”を上手に盛り上げてくれています。またランビエルコーチの難しいプログラムを、細かい要望に応えながらしっかりと自分のものにしてきたことで、表現の力は格段に上がりました」

 ショート『オーボエ協奏曲』は、宮本賢二氏の振付を緻密に磨き直したことで、凄みを感じさせるという。

「本来この曲は、淡々と流れていくような曲調で明確なテーマも作りにくく、表現するのは難しい曲です。ラフマニノフのように盛り上がりがはっきりしているとステップも表現しやすいけれど、この曲は『決めどころ』が作りにくい。それを上手に、滑りの滑らかさや上半身の上下、バランスのオン・オフで表現している。まさに成熟したスケーターという雰囲気を感じます」

 昨季までショートで使用した『グレートスピリット』の影響もあるという。

「グレートスピリットはずっとハイテンションで一定テンポが続き、やはり『決めどころ』が作りにくい曲ですが、自ら強弱を付けて表現していました。今季はスローの一定テンポで、自分の呼吸や溜めをうまく使って緩急を付けています。昨季までの経験が繋がっているのでしょう」

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photograph by Naoyoshi Sueishi/Tsutomu Takasu

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