マリーンズのピッチングコーチを務める吉井理人が以前、こんな話をしてくれたことがある。
「インコースを狙ったまっすぐがど真ん中に行ったらバッターには一番打ちやすい球になる。でも、それが強い球ならファウルになりますよね。だから普段から強い球を投げる練習をせなアカンと言っています」
吉井の脳裏に刻まれているのは現役時代の記憶だ。'89年の日本シリーズ第5戦、バファローズの2番手、吉井は7回、満塁でジャイアンツの原辰徳を迎える。ここで吉井は原にストレートを続けた。初球こそインハイへ抜けたものの、突こうとしたのはすべてアウトコース。そして6球目、吉井はインコースを狙う。
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photograph by Sankei Shimbun