#1004
巻頭特集

記事を
ブックマークする

<智将の最強メソッド> 風間八宏が考えるJの頂点。

2020/06/14
個々の技術を磨き、組織にスタイルを植え付け、後に連覇を果たす川崎Fの土台を作った風間八宏。異才が熟考の末に挙げたJの頂点は浦和だった。最強チームの作り方にも通じるその理由とは。(Number1004号掲載)

風間八宏's Best
浦和レッズ 2006

 風間八宏と言えば、「止める・蹴る」の技術にこだわり、手品のようなパス回しで幻惑する、いわゆる“ポゼッションサッカー”の印象が強いだろう。

 だが、風間が“Jリーグ歴代最強”に選んだのは、その真逆のスタイルだった。ギド・ブッフバルトがワシントン、ポンテ、闘莉王、三都主、鈴木啓太、長谷部誠、小野伸二ら個性派集団をまとめあげた、2006年の浦和レッズである。

「サッカーはルールがどんどん変わっていて、“フィールドの大きさ”(選手の距離感)も狭まっている。だから昔強かったと思うチームを見直してもゆっくりにしか見えない。それを踏まえて最強を選ぶなら2006年の浦和レッズだと思います」

 なぜ浦和が最強なのか? キーワードは「威圧感」と「選手層」にある。

「前線・サイド・最終ラインすべてに速い選手がいて、中盤にはうまくて戦える選手がいた。高さもある。1人ひとりの威圧感がすごかった。さらに選手層が厚かった。中盤で誰かが疲れたら小野伸二が入ってくる。相馬崇人、田中達也、永井雄一郎もいた。2チームが作れる戦力ですよ。マンチェスター・ユナイテッドやバイエルンのようなビッグクラブになる要素を持っていた。近年のJリーグに、ここまで選手層が厚いクラブはないでしょう」

育て上げた選手と、引き抜き。

 選手層の源泉として、風間は「高卒選手」の存在をあげた。

「当時の浦和は、高卒選手をうまく育てていた。小野のような“4番でピッチャー”だけでなく、全国区でなかった鈴木や長谷部を発掘して育てた。スカウトの目利きと、ゴーサインを出すフロントがすごい。これは鹿島アントラーズにも通じること。鹿島は強化責任者の鈴木満さんを中心にずっと方針がブレてません」

特製トートバッグ付き!

「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by Keiichiro Natsume

0

0

0

前記事 次記事