風間八宏's Best
浦和レッズ 2006
風間八宏と言えば、「止める・蹴る」の技術にこだわり、手品のようなパス回しで幻惑する、いわゆる“ポゼッションサッカー”の印象が強いだろう。
だが、風間が“Jリーグ歴代最強”に選んだのは、その真逆のスタイルだった。ギド・ブッフバルトがワシントン、ポンテ、闘莉王、三都主、鈴木啓太、長谷部誠、小野伸二ら個性派集団をまとめあげた、2006年の浦和レッズである。
「サッカーはルールがどんどん変わっていて、“フィールドの大きさ”(選手の距離感)も狭まっている。だから昔強かったと思うチームを見直してもゆっくりにしか見えない。それを踏まえて最強を選ぶなら2006年の浦和レッズだと思います」
なぜ浦和が最強なのか? キーワードは「威圧感」と「選手層」にある。
「前線・サイド・最終ラインすべてに速い選手がいて、中盤にはうまくて戦える選手がいた。高さもある。1人ひとりの威圧感がすごかった。さらに選手層が厚かった。中盤で誰かが疲れたら小野伸二が入ってくる。相馬崇人、田中達也、永井雄一郎もいた。2チームが作れる戦力ですよ。マンチェスター・ユナイテッドやバイエルンのようなビッグクラブになる要素を持っていた。近年のJリーグに、ここまで選手層が厚いクラブはないでしょう」
育て上げた選手と、引き抜き。
選手層の源泉として、風間は「高卒選手」の存在をあげた。
「当時の浦和は、高卒選手をうまく育てていた。小野のような“4番でピッチャー”だけでなく、全国区でなかった鈴木や長谷部を発掘して育てた。スカウトの目利きと、ゴーサインを出すフロントがすごい。これは鹿島アントラーズにも通じること。鹿島は強化責任者の鈴木満さんを中心にずっと方針がブレてません」
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