1988年、「昭和最後の夏」は冷夏、長雨の異常気象で試合日程が詰まった。強行日程となった近鉄はリーグ優勝をシーズン最後の試合、川崎球場での対ロッテ、ダブルヘッダー連勝にかけた。後に試合日から「10・19」と呼ばれる“伝説”の試合だが、その試合中に大阪で阪急の身売りが電撃的に発表された。9月の南海の身売りに続くパ・リーグへのダブルパンチ、球界は動転した。
本書は、この“運命の日”に集約されたパ・リーグ激動の1シーズンのクロニクル。本書のほぼ70%がダイエー中内功とオリエント宮内義彦とその部下たちの球団買収に向けた活動とひそかに消えたもう一つの身売り話を語る。球団売買の実態がこれほど詳しく書かれたのは、本書が初めてだろう。このコラムの筆者は、野球記者・野球機構職員OBだが、未知の事実の連続に前のめりで読んだ。
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