サッカーがまたもや「手」につらく当たる。このほど国際統括組織によって競技規則の変更が決まった。本年6月からは「故意でなくとも」ハンドは反則となる。
偶然だろうと球が手に触れ、ゴールやチャンスに結ばれたら主審の笛は鳴り、歓声と怒声がスタジアムを覆う。
先日、小説家の橋本治が世を去った。学生運動の季節に東京大学に在籍、大学祭ポスターの「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」のコピーで世に出た。
この知の人が述べている。
「サッカーのなにが人を興奮させるのか? サッカーが、人の上半身と下半身を逆転させたスポーツだからである」(『失楽園の向こう側』)。いわく。普通、下半身は上半身に奉仕する。サッカーは違う。足が頭脳となる。クロスをとらえるヘッドやゴールキーパーの腕にしても、足の指令で足の代わりを務めているのだ。
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photograph by Takuya Sugiyama