走るという行為は極めて単純だ。仰々しい道具がいるわけでも、特定の仲間が必要なわけでもない。極論してしまえば、身体一つ、それがあれば事足りる。
ランナーは己の身体だけを拠所にして走る者……ではないだろうか。
正直、よくわからない。何しろ、走るのも跳ぶのも泳ぐのも投げるのも、わたしは苦手だし、嫌いなのだ。嫌いというより嫌われているの方が、真実に近いかもしれない。ともかく、重度の運動音痴の身からすれば、スポーツの神さまに愛されているが如く跳ぶ者も走る者も泳ぐ者も投げる者も、ただただ、眩しく仰ぎ見る存在になる。
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photograph by Sports Graphic Number