ついに日本人初の8000m峰14座登頂に成功した竹内洋岳。
ダウラギリの頂上に立ったそのとき、何を感じたのか?
下山したばかりの彼に、その思いを語ってもらった。
世界に14座ある、8000m峰。
そのすべてに登頂した、初めての日本人がプロ登山家の竹内洋岳だ。
5月26日、14座の掉尾を飾る、ダウラギリI峰(8167m)の登頂に成功。1995年のマカルー登頂以来、足かけ18年に及んだ挑戦に区切りをつけた。
カトマンズで羽を休める竹内に、今の心境を訊いてみたい。受話器から聞こえてくる声は、軽やかに弾んでいた。
――改めておめでとうございます。快挙達成のニュースに日本中が沸きましたよ。
竹内 そうですか。いや、なんかね、こっちにいるとよくわからなくて。ヒマラヤには私以外にも14座のサミッターは普通にいて、珍しくないんですよ。
――世界で29番目とも言われる、14座完登者になりました。ダウラギリの山頂に立った瞬間は、何を思いましたか。
竹内 今回に限らずいつも思うのは、もう登らなくて良いんだってこと。そこから先は空しかないですからね。もちろん、今回が14座目の完登に間違いないんですけど、14座完登よりも、14座目の山に登れてうれしかった。ダウラギリに登れて良かったなあ、という思いの方が強かったです。
――遠征に同行したカメラマンの中島ケンロウさんが体調不良でリタイア。単独でのサミットプッシュになりました。山頂で竹内さんが撮られた写真を見て驚いたんですが、一番上にあんな大きな岩があるんですね。
竹内 実物はたいして大きくないんですけど、あの岩がダウラギリの頂上です。とにかく風が強くて、岩の上には乗っかったんですけど、立ってガッツポーズするなんてとんでもない。四つん這いになって、一番高いところに手をかけた。そんな感じでした。
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