騎手は、もの言わぬサラブレッドの仕草から何を感じ、
いかなる方法で意思を伝え、勝利に導いているのか。
その奥深いコミュニケーションの実際を、16年間の
競馬人生で、いま最高の手応えを感じている男が語る。
いかなる方法で意思を伝え、勝利に導いているのか。
その奥深いコミュニケーションの実際を、16年間の
競馬人生で、いま最高の手応えを感じている男が語る。
2011年、福永祐一は全国リーディングジョッキーに初めて輝いた。デビュー16年目にして到達した頂きは、1979年に落馬事故で騎手生命を絶たれるまで父・福永洋一元騎手が9年連続で君臨していた場所。その達成感が格別なものだったことは容易に想像できる。
意外にも「自分は凡才」と言い切る彼が、ゆっくり時間をかけて自分のものにしてきたサラブレッドとのコミュニケーション技術と、自身の競馬人生、そしてその騎乗哲学を語ってくれた。
「騎手にとって、馬とのコミュニケーション能力というのは、メチャメチャ重要です。まず、いい競馬をするには、馬の力を引き出さないといけません。そのためには、馬を支配、制圧して上下関係をはっきりさせて動かす必要がある。でも、気分を損ねられてはダメ。人間に褒めて伸びるタイプと叱られて伸びるタイプがいるように、馬のタイプによって接し方も変えないといけないんです。
たとえば、ムチで叩いてもダメな馬や叩くと減速してしまう馬がいます。繰り上がりでしたがフサイチパンドラという馬でエリザベス女王杯を勝ったときは、僕は一発も叩いていません。男馬と女馬のどちらかといえば、僕は男のほうには、バシバシ行く。女の子のほうはあんまりキツい操作はせず、気持ち的には、おだてて乗りますね(笑)。
馬は、跨られた瞬間にその人間がうまいか下手かわかる。
要は、その馬の個性をちゃんと把握して、どういう乗り方をすれば走るかわかった上で、実際に走らせることができるかどうか。そこに、騎手の技量が現れると思います」
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photograph by Kei Taniguchi