濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
アメリカに乗り込む“第二の刺客”。
大晦日で変わった川尻達也の運命。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2011/03/15 10:30
昨年、大晦日に行なわれた『Dynamite!!』。川尻達也(写真上)はジョシュ・トムソンに対して、テイクダウンからマウントポジションへとつなげ、パンチを繰り出す作戦で見事勝利を収めた
川尻が貫く青木とは対照的なファイティングスタイル。
ナッシュビルでの一戦で、メレンデスは青木の巧みな寝技、言い換えるなら“柔”のスタイルに一切つきあわず、打撃で主導権を握って完封勝ちしてみせた。だが川尻はアメリカ人のトムソンをアメリカンMMAスタイルで正面から潰している。5年前のメレンデス戦も、判定で敗れたとはいえ互角に近い打撃戦だった。川尻ならメレンデスが相手でも“剛”で対抗し、“エル・ニーニョ”の異名を持つストライカーの強みを打ち消すことも不可能ではないのだ。
しかも、メレンデスには1年のブランクがある。
川尻にもアウェーかつケージ初経験というビハインドが存在するが、一方で追い風を味方につけてもいる。なにしろ彼は、青木戦で屈辱的な敗北を喫しながら復帰戦一発でメレンデスへの挑戦権をものにしたのだ。
青木とメレンデスの再戦が実現しなかったこと。青木が自演乙に敗れたこと。同じ日にSTRIKEFORCEのナンバー2と対戦し、勝利したこと。そして、このタイミングでメレンデスがカムバックすること。すべての流れは“川尻達也、日本人初の海外メジャータイトル奪取”へと向かっているような気がしてならない。